進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 | 日記 | 臨海学校って?
2019/05/23
臨海学校って?

都会の小学生による臨海学校。
私が東京都の小学校にいたころだからもう半世紀も前の話だ。当時は東京・横浜など都会の子供たちは両親が非常に忙しく家族そろって自然のなかで過ごすことがほとんどなくなっていた。このため、主に小学校4年~6年の夏休みに学校単位の集団で海や山で過ごす行事というか働きがあった。
父親はその頃既に流行語であった「企業戦士」であり、日曜祭日にも休日出勤や得意先の接待ゴルフなど当たり前...かくして社益のためひいては日本のためと頑張るのがあたりまえの時代。
ウチなどは例外中の例外。父は「釣りと野球」が好きでたまらぬ中小企業の経営者だったから「接待しないと取引しない相手などどうでもイイ」とばかりに関東地方を釣りまくる。友達からは毎週アウトドアでいいなぁ...と羨ましがられたが、一緒に行かなければぶん殴られるんだから仕方ない。
そんな時代の小4の夏休みに学校から「臨海学校」が1週間、秋には「林間学校」が4日間の予定で開かれるという説明会があった。
私のいた練馬区では千葉県の内房「岩井海岸」と群馬県の「軽井沢」に保養施設をもっていて常時管理人がいて快適な環境が保たれていた。正直言って、今の国民宿舎なみのすぐれた設備だった。
岩井海岸はこの添付写真のような波静かな東京湾の千葉県側にあり、臨海学校は毎日規則正しく「6時のラジオ体操」で始まった...♪あたーらしい あさがきた 希望のあーさだ♪
今もあの曲を聞くと瞬間に小学生だったころに見た美しい内房の砂浜を想起する。
秋の軽井沢は海ばかり行っていた自分にとってはまさに「別天地」であった。今でこそチョッと無理して圏央道と関越を使えばドライブで日帰りもできるが、当時は違った。
まず「軽井沢」というnaming statusがもつ威力には庶民が抗しがたいものがあった。
だいたい、明治時代に来日したお雇い外国人や海外宣教団体のキリスト教宣教師たちが偶然にも発見したのが「軽井沢」だったのだ。
彼らはもともとが北方系の人種であり、夏の暑さには極めて弱い。これは今この文章を日本語で読んでいる皆さんには本当に信じられないだろうが、欧米人はアジアの耐えがたい湿気の多い酷暑で体調を崩しやすく、最悪の場合は死んでしまうのだ。
だから、英国国教会の宣教師がキリスト教の布教の途上で「軽井沢」を発見した時には本国にも報告したくらい在日の欧米人たちは狂喜した。
「軽井沢と呼ばれるその地は空気清浄、活火山の浅間山の麓にあり風光明媚。真夏でも25℃以上にならず朝夕には15℃以下である。その冷涼な気候と眺めは故国英国のScotlandに極めて似ている...」とreported.
軽井沢の名前と避暑地という言葉もここから急速に日本中に広まった。今でも大学の英米人の教員にはこの「避暑休暇」の習慣があり、日本が涼しい秋になるまで本国に帰国します...なんていうメールや絵葉書が来る。
...という訳で、東京都練馬区立小学4年のわれわれは「エアコン付き(当時はまだ珍しかった)の観光バスに乗り込んでみんなで「山賊の歌」を歌いながら軽井沢をめざした。
高速道路なんてまだ東名しかなかったんではないかな。東京都内を脱出するのだからまずは環7の渋滞は仕方ない...でも楽しい、あんなに楽しい瞬間って人生に何回あるのだろう。嬉しくて死にそうである。
「オイ!オレたち、これから軽井沢に行くんだよね?!」と隣にいる友人が興奮の紅潮した顔で確認してくる。「ああ、そうだよ!!」
碓氷峠のR...(カーブの半径指数)を数限りなく越えて行く...クルマになれない友人は死にそうな顔だが...引率の先生の「山賊の歌を歌うぞ!」で車酔いをする間もなく軽井沢に到着する。
秋の「林間学校」は岩井海岸でやった臨海学校の「やまversion」である。
ただ違ったのは「浅間山の鬼押し出し遠足」「軽井沢の高原牧場1日体験」だった。父の強権で土曜日の午後と日曜日にはまる1日「海」ばかり行っていた自分にはまさに新鮮な体験だった。
臨海学校・林間学校はその昔「欧米...特にイギリスとドイツ」で都市部の虚弱な子供たちを海・山の自然のなかで心身共に健康にすべく当時の最新のプログラムで合宿させたことから始まる歴史を持つ。
だから、現在環境の良い地方の生徒にも、またご父兄の世代にもこの「臨海学校・林間学校」が何たるか...はなかなか理解できないと考える。
あれから半世紀たって「いまでも臨海・林間学校はあるんだろうか?」と素朴な疑問を持って..net-surfinしてみると、いまだ健在らしい。
写真は日曜日の朝、想ひ出の「岩井海岸」でのんびりと釣りをする釣り人。シロギス・カレイ・イシモチの良型が釣れるポイントだ。
>
日記の一覧に戻る


[0]
店舗TOP

ペ-ジの一番上へ戻る