進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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奇跡の大学生
2023.04.20
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かつての塾生に部活最優先の子がいた。元気のいい中学生男子だ。
塾には来るが家での勉強はまったくしない....中間・期末テスト前にもあせるそぶりは皆無だった。入塾したときの学年順位はもう下がいない状態。それでも本人はまったく不安ではないらしかったから私も驚いた。
両親ともfull-timeの正社員で土日・祝日は必ず休みだったが、仕事で疲れるのだろう....
子どもの成績にはあまり関心がないようだった。
「いやぁ...いまの子どもは何も言うことをききませんからね」
「勉強のことは塾と学校におまかせしますよ...」
とのことだった。
学校と言うが今の中学校はかつてとは違う。生徒に何かを「無理強いする」ことは絶対にない。そんなことをすれば親も子も黙っていない。担任でダメなら学校長...すぐに教育委員会に....精神的にダメージがあれば即心療内科の診断書を取って最短で警察へ案件は持ちこまれることもあるから怖い。
教育の成果は「学校・親・生徒本人」の3つが信頼しあって初めて形となって現れる。
今の世にかつての美しい信頼関係を見ることは稀になって来たように思うのは私だけだろうか。
話を戻そう。
この子は勉強はまったくできないが、人好きのする楽しい生徒だった。むしろ年齢よりもずっと大人びたことを言って周囲を笑わせたものだ。
ただ学力は本当にどうしたのか...と思うくらいだ。
分数の通分ができない・小数の掛け算割り算がダメ・漢字は書かない・英語はdogとcatくらいしか覚えていなかった....中3の9月の段階でだ。
ある日のこと彼が嬉しそうに叫びながら塾に入って来た。
生徒「先生、オレもう勉強やめたよ!」
「親が一番新しいスマホを買ってくれたんだよ。英語も漢字ももう大丈夫だ!」
「数学の計算や通訳もしてくれるんだ!」
「塾には来るけど勉強はしないからね!ヨロシク!」
私 「スマホがない時どうするんだ?」
生徒「そんなことは絶対にないから大丈夫だよ!」
私 「入試やこれから先に何かの試験の時にスマホ持ち込めないぞ」
生徒「その時はその時だョ。どうにかなるさ!」
生徒は塾が好き(?)だったらしく最終日まで来た。そして高校は「部活のスポーツ推薦枠」で私立高校に早々とその年の2月には決って親子で喜んでいた。
数年たって偶然この子の父親と会う機会があった。
「いやあ...3年間塾でお世話になりました。お陰でウチの子は~という私立大学に入りましてもう卒業です。就職も私の関係先に決まりました。万々歳ですよ。先生には家族みなで感謝してますよ!」
卒論も書かなくて良い大学だったからよかったとも聞いたが....生徒があのあと懸命に努力を重ねて高校で必要な単位を取り....やがて大学入試を突破。大学では4年間で学士を取得する学びを重ねたと考えたい。今の大学はそうなのか?
家庭教師のバイトで生活費を何とかして稼ぎ、とても新品を買えないから神田の古本屋街で専門書を捜して歩き回った日々。大学図書館に毎日のように通ってリポートを書き...卒論のために3年間を費やした私のころとはずいぶん変わったものと思う。
有名すぎる東大の赤門。
伯父は旧海軍の選抜試験でここを初めてくぐったそうである。合格して航空隊へ。