進学セミナー西川塾　城星教室 / 十足教室　　　　 | 日記 | ロシアへの思い....

ロシアはかつてソ連だった。ソビエト社会主義共和国連邦の略でソ連と言った。英語では
U.S.S.R。中学生の歴史の問題では生徒たちが答案に「ロシア」と書かないようにいつも注意している。ロシアには2つある。日本が明治時代に闘い勝利した「ロシア帝国」とソ連崩壊後に残った「ロシア連邦」だ。後者が今のロシアでよくよく時代を考えて答えないと入試で貴重な1点を失ってしまう。

では自分自身でロシアをどう思うか...？

一言でいうのはムリだ。

音楽ではチャイコフスキーの白鳥の湖の美しい旋律には何年何十年たっても感動する。

文学ならトルストイの「戦争と平和」を読んだことが生涯の宝と思っている。帝政ロシアの時代なナポレオンの率いるフランス軍との戦いのなかで遂にモスクワを占領され、没落していくロシア貴族の物語。

もはや長編小説の域を脱して歴史的実話に近い。登場人物のそれぞれはトルストイの分身だ。私生児として生まれたピエールは臨終の貴族の父親から莫大な遺産を相続するが、反戦思想を持ち反体制的で平和主義者の彼はトルストイ自身の魂の投影のようだ。

アンドレーとピエールの生きざまを見ると誰でも自分の人生をもう一度見つめなおしたくなる....

壮大なスケールの著作である。映画を見て感動し原作の小説を読む人もいれば、長編小説であるにもかかわらず内容に引き込まれて寝る時間を忘れて読んでしまい映画で見たいと思う人もいる。何度読んでも、何度見ても新たな感動があるから不思議である。

1956年と2016年に映画は2つ製作されている。前者のほうが俳優・女優ともすばらしいく見ての感銘はずっと深いのは時代の流れによる原作の解釈の違いだろう。

このまま書いていると「戦争と平和」の書評のようになってしまうのでこのくらいに。

ロシアはロシア帝国から始まり、日本とのかかわりは江戸時代の北海道（蝦夷地）での接触から明治時代に朝鮮半島の支配権をめぐってついには日露戦争の勃発を見ることになる。

日本の...それも対馬海峡のすぐ向こうが帝政ロシアの支配する朝鮮になったら危なくて仕方がない。九州や西日本にいつロシアが手をのばしてくるか...その危険性のゆえの戦争だった。

ロシアの国土は広大といっても、凍り付いている大地...冬期には海まで凍る事実を忘れてはならない...いや日本人には体感的にわからない。少しでも南に出て行きたいと言う「南下政策」さらに厳冬期にも海を使って貿易と海軍の軍港にしたい「不凍港」が欲しい。

この2つはその後国内に革命が起き「ソ連」となっても同じだった。先の太平洋戦争でも終戦間際にそれこそガタガタになった日本に宣戦布告。千島列島のすべてと樺太に上陸して占領。いまだに返さない....いや歴史的に見たら第2次日露戦争がおきて日本が勝利しない限り絶対に返還はないだろう。南下政策は綿々とロシアに引き継がれた民族の血のなかにある。

ソ連はあのとき...1945年8月~9月に一方的に「日ソ不可侵条約」を破棄して北の日本領を奪った。国際条約も国益と歴史の圧力の前には無効なのか！？

江戸時代からのロシアと日本の条約から考えれば北海道から北の千島列島は「カムチャッカ半島手前の幌筵島まで」と「樺太の南半分」が日本領である。

皆さんも知床に旅行することがあったら羅臼からクルマで上がれるから「知床峠」へ上ってみることをおすすめしたい。

眼前には手が届くか..と思うくらいのところに国後島・択捉島がドーンと見える。体感的には伊豆から大島を見るくらいのイメージだ。

あそこが日本領でなくてどこが日本領だ...と誰もが思うだろう。

チャイコフスキーやトルストイはロシアが生んだ宝とも思う。一方で終戦時の国境を越えてなだれ込んで来たソ連兵の日本人への略奪・惨殺・女性へ加えられた凌辱を思うとつくづく「あれは日露戦争の恨みだった」と考えずにはいられない。ましてや..一番上の伯父は関東軍だったから終戦後長く強制労働させられ部隊で生き残ったのは2名のみ。私が生れる少し前にようやく引き上げ船で日本に帰って来た。

ソ連・ロシアは3つのことが気に入らない。

日本が明治時代から大陸と朝鮮半島に進出したこと。
日露戦争に敗れたこと。
戦後アメリカの同盟国になり在日米軍が日本国内にいること。

芸術と歴史は別だ...といっても自分の心は複雑になる。