進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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知らんけど
2023.01.29
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塾をやっていると生徒たちから学ぶことも多い。特に若者言葉の最新版が飛び交う最前線にいるからこの点はluckyだ。
少し前から気づいた言葉に「知らんけど」がある。何か自分が思うこや意見を言ったあとに付加的に使うようだ。
「オレ、昨日さ...決心したんだよ。3月中にはとにかく東京に出ようかってね...知らんけど....」のように言う。
初め聞いた時には私のような典型的な昭和人間にはかなり違和感があった。
「キミね、知らないなら言えないだろう。どういう意味(心境)なの?」と訊いてみた。
彼は驚いたような、それでいて悲しそうな表情になって..沈黙。
「知らんけど」はそれから若者との関わり合いのなかで数多く出会う言葉となった。その
言語としての音声は関西系の言葉に聞こえる。
そして実際に使われるsituationが重なるたびに次第にusageから意味を推測できるまでになった。
それは「自分の意見・考えに確固たる自信がない時」に自説を軽く否定する...少なくとも心的距離を置くことで心の平静と均衡を保ちたいときに好んで使われる傾向が強いということだった。
ここで思い当たることがあった....
英語でも誰かと話しているときに自信がない(自分に・或いは自分の話す内容に)時に多く' you know...'が聞かれることだ。
You know, the terminal exam is just around the corner.
We have only 5 dollars , you know. のように。
「ご存じのように」「キミにもわかるだろうけど」「わかっていてくれると私も思うんだが」のような意味で自分の言う内容が強く響かないように願う心理状態で使われるようだ。直接的に' This is my opinion...' ' As far as I'm concerned...'なんて言うのとはまた違った友人や家族同士のような近しい関係の人間の関係でよく聞かれる言葉である。
洋の東西を問わず、また時代を超えて相手の気持ちなり心なりを考えて自分のありのままの言葉を「調節」するのは良いことだと思う。
最近の若者が使う「知らんけど」は無責任に響く面とは全く別な相手への思いやりが多少なりとも含まれていることがわかった。
一見トンデモナイ若者にもイイヤツがいる。
優れた隠れた素質を持つ若者もいるのである。
Jacob's Ladder