進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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不思議な若者ことば 1.
2022.06.23
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こういう話は英語のように結論から先に言ったほうがわかりやすい。
「若者ことば」それは本当に理解に苦しむ。特に私は日本語によって英語を教えることを教えるのが仕事(ALTに対してJTE)だからだろう。とにかく気になって仕方ない。
いつも塾の中学生・高校生が書いた英文を見たり、日本語への訳文を教えている。「文法の誤り、spelling違い、日本語の不自然さや漢字の間違い」のcheckまでが守備範囲だからこまる。
何かヘンだな...と思い始めたのは30年くらい前だったか。
世の中にあってはならない「ら」抜き言葉なるものが流行りだした。「食べれる・見れる」に始まってあっという間に日本語を席巻した。これは文法的に言えば「可能を表す助動詞(ら)の省略」である。
そのころの私はまだ深刻に考えていなかったが、なんと外国人からこの点を質問されてことの重大さに気づいた....私は外国語では英語しかわからない。
そのころ韓国行きの話があった。観光旅行なら断った。でもそのtourによる予定訪問先が、韓国の大学・博物館・旧王宮・旧日本総督府・慶州の遺跡・英国古教会(Anglican)...という学術訪問だったから参加した。
そこでは特に優秀な通訳を頼んだ。彼女はソウルの梨花大日本語学科卒で正式の日本語通訳の国家資格を持っていた。日本にちょっと行って帰って来た「現地案内人」とは違う風格と自信を漂わせている。名は韓国人に多い「金」さん。韓国語の発音ではキムさんだ。
Ms.Kim「ニシカワサン、最近日本語は変わりましたか?」
私 「何かありましたか?」
「いつも自分の日本語を新しくしたくてTVのVTRを見たり新聞を読んでいますが、変わってきたと感じます..なぜ「食べれる」と言いますか?」
私はそうなったのだと思って実際の通訳の場でそういう言い方を使ってみました。すると日本人の観光団の方から「あなたはそういう言い方をやめたほうがいい」とか「韓国人であるあなたが使うのは不自然に思う」と言われたんです。
彼女の日本語はほぼ完ぺきだった。
高校生から外国語として日本語を学び大学では4年間を日本語専攻。卒業論文も日本語で書いたという。
だからこそ不思議に思い、ある意味許せない気持ちになったのだろう。
私の仕事はある部分で彼女と重なってるからその気持ちはよくわかる。大いに同情もした。
ヘンだなぁ...と思う日本語も10年たち20年が過ぎるころには大多数の日本人が何のためらいもなく使うようになる。
かつて誤用法とか文法上の誤りといわれ、中学高校の国語テストでは×になったことが平然となんのためらいもなく使われるようになり、遂には最後の砦の広辞苑や広辞林に掲載される。
まさに「悪貨は良貨を駆逐する」そのものである。
たとえば「全然(ぜんぜん)」という言を考えてみよう。
「全然」は副詞であり文末に「~ない」という否定語を伴う...これを副詞の呼応と言う。
これは昔私が中学生だった頃、国語の時間に暗記させられた内容である。
ところがどうだろう....
「ぜんぜんオイシイ!」とか「ぜんぜんできる」なんていう言葉が巷を駆け巡る。
違和感を感じる人はもういないのか?
昨夜の塾の英語の授業。
私 「接続詞のthatはわかったかな?」
生徒 「ぜんぜんわかりました!」
最早言葉もない。