進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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現代若者気質
2022.04.09
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もう半世紀も前になるだろうか「現代若者気質」という本があった。まだネットも何もなく最新版のレコード(?)や本が出ると新しい文化に飢えていた自分たちは始発の伊東線(5:43am.)に乗って東京へでかけたものだ。
この書は私たち世代が中学生~高校生のころに出版され、ほとんどの友人たちは読んでいた。当時の気の利いた「話題」はこうした本についての自分なりの読後感と言うか共感とか反感を語り合うことだった。これがまた楽しく今でいうディベートより深みのある対話だったように思う。高校の教科「現代国語」よりよっぽどためになったように思う。
ここで周囲が「フーン」と納得...というか感心させられるような意見を言うヤツは少なくとも当時の伊高(伊東高校)では尊敬された。これは「人気」とはまた違う。古い言葉でいうなら「人望」だろうか。
伊高の伝統は「自由な中の努力」だ。一部の進学校のようなガリ勉は一番軽蔑される。
自由に自分を主張するが、陰では死に物狂いの勉強を誰に強制されなくても自分の意志で続けている....遊んでいるように見えてしっかり勉強している。
そして妙なことに「愛郷心」がやけに強いことだった。皆が伊東という地が文句なしに大好きだ。伊東高校の校歌♫...大室小室まろやかに わた(海)より昇る まひ(太陽)のかげ..♫とあるような、東に真っ青な相模湾 西には天城連山をいただき出湯(温泉)の豊かな温暖の地である伊東を皆が誇りに思い愛していた。
親兄弟の悪口を言われると許せないように、他の土地で伊東の悪口を言う人間を許せなかった....事実かどうかなんて問題ではない。
そうした強い愛郷心+自由を重んじる+命がけの勉強を自分でする...
この3つがかつての古くから伝わる伊高の伝統だった。
同期の友人たちには医師・大学教授・弁護士も多い。
来年の2023(令和5)年から伊東高校・伊東商業高校は一つに「伊豆・伊東高校」となり現在の小室山の麓の商業高校の地に新たな歴史を刻むことになる。
静岡県の県政であり、それゆえの県立高校であるがこれまでの地元2高校の歴史と努力が十分に反映され受け継がれていくことを心から願う。
伊東が今あるのは伊東高校と商業高校の卒業生が支えてきたのだから。
市役所の職員・伊東市内の小中学校の教員は地元出身者が9割以上だ。
人間の精神がその人の人生を作る。
愛郷心のある人間こそがふるさとのために力を尽くす。
それは経済の基盤つくりである以前に「人づくり」であるはずだ。
これからの現代若者気質は...と考えるときにまず「ふるさと」を考えてほしい。
地理的にも心理的にも「ふるさと」のない人間は悲しいから。