進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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大学....専門学校
2022.03.20
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違いは何か?
スピード重視で結論を知りたがる今の傾向に合わせて言うなら.....
「1円にもならないことになる危険性を知りながら4年間をかける勇気」あるいは
「即実戦力+資格を取る行動力」の差異になるかだろう。
明治時代は大学生は国民のなかで希少価値。それは宝石のようだった。
「末は博士か大臣か」とは本当に現実味のある言葉だったことを記憶にとどめたい。
本当にそれくらい日本の...国民の希望を担って勉強をした人間が明治時代を作り日本を近代国家たらしめたのであった。
大学に卒業後も残り研究室に入って苦節10年20年を経ればその分野の博士。卒業後政治の世界に入れば閣僚..大臣になったことは事実だ。
今は...昭和・平成・令和の御代(古い言い方だが)になり「石を投げれば大学生にあたる」というくらいかつての価値は薄れた。
その故にだろう。最早「大卒」という学歴の重さよりもパソコンや「~士」といった即仕事につながる「資格」を取る人間が増えた。若者と言わなかったのは中高年や家庭の専業主婦でも勉強して資格を目指す人がいるからだ。
それでも企業のなかで発言力を持ち人事で一目置かれるのはやはり大卒ということになるのが事実だろう。
そこにはいろいろな理由がある。
大学はまず無試験では入れない。高校の時にトップクラスの成績で推薦で入学する以外は何らかの形で入試がある。めでたく入試を突破して大学生となったらいきなり勉強したい目的の分野・科目は学べない。
これが学生をさらにふるいにかけ+磨きをかける「一般教養科目の試練」である。
驚いたことに入学するまでその後約2年間続く「一般教養」の義務的勉強を知らない学生がかなりいる。知ってはいても...ここまでやるのか!?と絶句する者も多い。
大学側の説明によると「..将来の専門科目のより深い理解のために」欠かせない学びだと言う。私の場合史学科と英文科の2科で学んだのであるが、どうして経済学をやらなければならないんだろう...と大いに疑問を感じつつ4単位の重みに耐えて通過した。
中には「こんなはずではなかった..」とブチ切れて(失礼)1年もたたないのに退学。学歴「大学中退」になる人間もいる。
まあ、3・4年の専門課程に進むために必要なイニシエーション...そう通過儀礼と思って耐えるしかない。
そして大学ではやたらとリポートを書かされる。「大学生のリポート」という本が数種類書かれるくらいだ。
文章力のない学生にはこれがこたえる.....友人のリポートを借りても丸写しはバレるしネット上を探しまくってコピペしても不自然だし、その辺りは指導にあたる教員もわかっている。
無数と言ってもいいくらいに課される「リポート」に合格し、各科目の終了試験に合格してやっと単位がもらえる。軽いもので2単位。重要科目は4単位だ。単位が取り切れなければ留年。学費が1年分余計にかかる。
3・4年の専門課程になると大学の日々の勉強に加えて卒業論文(略して卒論)を準備することになる。
卒論はテーマを決めることに始まる。
そのあとは通例では2年間くらいの時間をかけて「資料」「史料(歴史)」を大学図書館を始め各地の図書館に通って閲覧し許可を得て有料でコピーする。必要とあらば卒論に関係ある現地へ取材に行く。写真を撮り..関係者がいれば参考意見を聞くなど。
卒論はやってみなければわからない。書いているうちにも結果がどうなるか自分にもわからない不思議なものだった。
ただふと気が付いたことがあった.....
何かに似ていると直感的に感じた。
数学の証明に酷似しているではないか。
まず「卒論のテーマ」を決めるが、これは証明で言う「結論」だ。
その結論をいかに証明するか。
その過程が証明の「仮定」の部分にあたるだろう。
壮大にして乱暴な結論をまず宣言する。
これが卒論の「論題」でありTitleだ。
それを資料・史料・物証により自分の言葉で証明するのが卒論だ。
卒論が書けないために大学を卒業できない学生も多い。そのためか最近の大学では卒論の単位数(6か8)を他の選択科目で充足できれば可とする場合もあるらしい。
これが大学4年間の総括であり総決算の卒論だ。
学費は国公立で年間53万円くらい、私立大学だと文系で100万円 理系なら200万円以上かかる。
4年間でストレートで卒業したとしてこの4倍。さらに学生といえども4年間の生活費が必要だ。実際ほとんどの学生は奨学金を利用し、家庭からの送金、さらにはアルバイトをして4年間の大学生活を送っている。
学力と努力そしてお金の3つが機能してようやく一人の大卒が生まれる。
今風のコスパなんて考えていたら一人の大卒もいなくなるだろう。
ゆえに会社の新卒者募集の採用試験でも高卒・専門学校卒・大卒にわけて考査するのである。それぞれに優れた点と補うべき点が存在するが。