進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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しおくずばんば
2022.02.17
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私の趣味はボート釣り。沼津のマリーナにフネを置いている...なんていうと大きなクルーザーを想像されるだろうがとんでもない。わかりやすく言えば「手漕ぎボートの大型」の船体に船外機がついているくらいのフネと思っていただければよろしいと思う。
とは言え「エンジン(船外機)」がついたことによる機動性の向上はすばらしい。手漕ぎボートでは海岸から数百メートル沖が精いっぱいで1㎞離れたら向かい風の時には帰ってこられなくなるのに対し、船外機ボートなら波と風がそこそこあっても燃料が続く限り...操船技術の許す限りにおいて海上を思いのまま航走して釣りができる。海技免許として最低でも小型船舶操縦士2級が必要だけれど。
この「思いのまま」というところが究極の自己責任の作り出す...世人のかかわることのない危険にして...しかしその一方でこの上なく美しい自然の美を体験することになる。
その一つが真冬の駿河湾に発生する「しおくずばんば」である。
しおくずばんばが発生するにはいくつかの自然条件が必要だ。まず「気温が0℃近く下がっている」こと。次いで「海水温が15℃以上」であること。そして「無風に近い」静かな朝であることの3つだ。
科学的に言えば、それは単に暖かい海面から立ち上る湯気なのだが一度でも見た人は何かを心に深く感じると言う。
昨年の元旦に見た「しおくずばんば」は数年に一回見られるかどうか...というくらいこれまた見事なものであった。
駿河湾の暖かい海面からゆらゆらと立ち上る水蒸気が「しおくずばんば」となるのはいつものことだが、この時は上空も無風だったのか数百メートルも途切れることなく純白な帯となって雲とつながって見えた。英語ではなぜか濃い霧の状態を「ミルクのように」というけれど海面はまさにその表現にふさわしい。Fog like milk is drifting on the sea...
そして大瀬崎近くまで行ったときだった。
右舷の富士山の方向を見たときの光景には最早言葉にならなかった。東から昇ってきた太陽の光が立ち上る「しおくずばんば」をに差し込んで妖しいまでの美しさだ!
太陽の昇る瞬間瞬間にその色調は絶妙なまでに変って行くgraduationの美しさだ。昔、子供のころに東京湾カーフェリーで見た海に映った満月を見た時と同じ美しさを見た。
本当に美しいものは「瞬時に消えていく」
永遠に保存できないからこそ、その瞬間の美しさには最大の価値があるのだろう。
駿河湾の「しおくずばんば」よありがとう。