進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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サイゴン脱出のよう2
2021.08.27
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..........私はあの時NVA(北Vietnam正規軍)やVietcom(ヴェトコン)に包囲され、最後にアメリカ大使館のビルの屋上にヒューイヘリがホバリングして大使館員を乗せては離陸、沖の空母にピストン輸送するsceneに目が釘付けになったことを思い出す。
その間にも米軍で働いていたヴェトナム人が米軍撤退後に殺されることを恐れてアメリカ大使館に殺到してゲートでは圧死者も出ていた。大使館を守る海兵隊は重武装で必死の義務を果たしていた。
南ヴェトナム軍も追いつめられ、ありったけのヘリに軍の高官・政治家と家族を乗せては沖の米海軍の空母をめざした。そこでも信じられないsceneを見た。
空母にやっとのことで着艦したヘリは米軍のヒューイも南ヴェトナム軍の大型双発ヘリも、人間が降りるや否や...兵に押されて「海中投棄」された。
全機だ!
要するにあとからあとから着艦しようとするヘリの乗員を一人でも限られた時間で収容するためだった。
あれほどの物量と莫大な資金援助をした南ヴェトナムのサイゴン政権も、こうも脆くもおしまいになるとは...
ヴェトナム戦争の末期にアメリカのマクナマラ長官が発言した言葉が耳に残る。
「アメリカは共産主義の防波堤としてヴェトナムを守るため、いかなる資金援助も兵器の貸与もするし、これまでもして来た。しかし、あなたたちヴェトナム人が命がけで自分の国を守る精神をもって本気で戦わない限りこの戦争に勝ち目はない。アメリカが貴国の代わりに今後も闘い続けるわけにはいかないのだ...」
今回のアフガニスタンにはアメリカは過去20年間もの間、やはり同じように莫大な資金提供し兵力をつぎ込んで「膨大な軍事費」と「貴重な米兵の命」を失った。
アメリカが支えて来たアフガニスタンの政権はどうなったか?米軍が撤退を開始してすぐに大統領は家族と側近を連れて入りきれないくらいの現金と財宝を持って国外逃亡してしまったではないか。
見棄てられた国民は可哀そうである....ヴェトナムの時と同じだ。政府の役人・警察公安関係者・軍人はすべて殺される運命にある。
タリバンも一枚岩ではなく、いくつもの分派にわかれている。かつてのイスラム国が復活してカブールの空港を攻撃していると言うニュースには驚いた。自国民の脱出を守るために空港を警備する米軍とドイツ軍がこれに応戦、死傷者が出ていると聞く。
自衛隊も現地に残った日本人を救出のため航空自衛隊の輸送機C-1.と最新型のC-2輸送機を数機、遠路派遣したが着陸したカブールの空港には日本人はいまだ到着していない。
タリバンが空港に通じる道路に設営したいくつもの検問所があるためだ。
日本は日米安保という軍事同盟を結んでいる親米の同盟国なのだから、今まで戦闘していた敵国の同盟国の人間を生かしておく保証はないだろう。
今、日本国内はコロナ関係とパラリンピックのnewsで国民の関心はアフガニスタンから意識的にそらされている。
アメリカがここへきて急にアフガニスタンから兵力を撤退させた理由のウラには、きな臭くなった南シナ海への備えと言う事実がある。
米軍は2方面作戦を避ける。
かつての第二次世界大戦でもアメリカは辛くもヨーロッパ戦線でドイツに勝った後、兵力を太平洋の戦線に集中し日本軍に対し急速に勝利した..
アメリカは歴史上のすべてのデータを分析し「戦訓から学ぶ」恐ろしいくも賢い国だ。
アフガニスタンから撤退してこの方面を失っても、中国に備える道を選んだ。
かつて、ヴェトナム戦争のある瞬間を忘れられない...
それはサイゴンのアメリカ大使館に北Vietnam正規軍のT-34戦車がゲートを押し破って突入した瞬間だった。
戦車の砲台に書かれた「赤い星」が周囲を威圧していた。
ひとつの国が終るときとはこういうものか。
願わくは脱出する人々が一人でも安全にアフガニスタンから出国できますように。