進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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キビシイよアメリカ人
2021.05.28
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何もかもが自由で能天気に見えるアメリカ人....自己主張が強烈で後に引かないアメリカ人....イイなぁアメリカ人は。
ほとんどの日本人はそう思っているのではないだろうか。いい面しか見ないならそうだろう....
アメリカは' United States'という国名からもわかるように「多くの州の連合体」である。各州には「州政府」があり日本の「県・県庁」とは比べ物にならない強力な権限を持っている。その証左に「州兵」という州独自の軍事力をも持ち州知事の権限で動く。そして全部の州の代表としてワシントンに「アメリカを代表する連邦政府」がある。日本よりずっと地方分権の色合いが濃い国なのだ。
日本の常識は一切通用しないのがアメリカ社会である。
徹底した個人主義で、自己責任で能力主義の社会だ。
そしてそこに至るまでの個人レベルでの教育の厳しさと言ったらない。
まず生まれてすぐの赤ん坊の時から子供部屋で一人で寝かせる。もちろん必ず部屋のドアは開けておくが、両親の寝室に子供が寝ることは絶対にない。
幼児になると徹底して教え込まれるのが「トイレの清潔な使い方」と朝起きた時の「ベッドメイキング」である。彼らはこれが自然にできて初めて人間になるくらいに思っている。
やがて小学校に始まり高校(ハイスクール)までの12年間は「熾烈にして厳しい家庭内のしつけ」がある。
もし真面目なChristianの家庭ならば家長である父親が時間のない朝でも「食前感謝の祈り」をする間は頭を垂れてみんなで' Amen.'それから食事だ。
ここが今の日本の家庭と絶対にちがうところ。
それは父親の絶対的な権威。かつての戦前教育の日本よりも強烈だ。
父親の言うことにはまず逆らえない。私の友人はMarine Corps(海兵隊)だったから余計にそう見えたのかも知れないが、父親が何か言うと子供は必ず' Yes,sir.Thank you sir.'と実の父親に' sir 'をつけて答えているのには驚いた。これは実話だ。
門限を破ったり、家庭内の役割分担をしなかっりすると父親のカミナリが落ち、新たな家事や外出禁止3日間なんて言う罰則が科せられる。
そんなもの破ったって...と考えるのは甘い日本の子供であり、言うことなんて聞くハズないよと思うのは日本の親だ。心から父親に許しを請うまで、本当に食事を出してもらえなくなったりする。
泣こうとわめこうと、ふてくされて部屋で何日すねていても絶対に許してはくれない。
彼らの考えでは、人との約束を破るのは最低の人間であるから、すぐに社会のなかで誰からも相手にされなくなってしまう。家族の間でもそれは同じこと。家にいる間にその訓練をしているのだと考える。
そして、日本で言ったら中1くらいからほとんどの子供が自分のできる範囲でアルバイトをしている。お小遣いと将来にそなえて貯金している例が多い。
Americaでは家庭(実家)にいられるのは高校を卒業するまでとするのが常識だ。
18歳を過ぎると大学に行くか社会へ出て働く。或いは軍に入隊するの3つのうちのどれかの進路にすすむ。
だから19や20になっても家にいるのは「病気」など特殊な例以外はあり得ない。
友人の間でハイスクールを出た後にまだ自宅にいると知れると「アイツ..どうしたんだ?」と皆で心配する。
子供は自分が働いたお金をその18歳の出発の時に使う。大学の入学金・授業料も親に出してもらおうなんて誰も考えない。親も子供が自分の意思で行こうとする大学の学費など初めから出す気などない。
日本よりずっと「親子..特に父親」との関係は希薄だ。イヤ希薄以上のものが確かにある。それは男の子と父親の場合に特に強く...「父親に勝つ」ことを目標に男の子は頑張る。父は乗り越えなくてはならない権威の象徴なのだ。
そして大学は、自分の身銭(?)で行くのだからみな大事に勉強する。在学中もバイトをして自分の生活費分を働くのは普通だ。
もし、成績がよければ大学や州・国の奨学金の受給希望を出して試験を受ける。これは昔からあるscholarship(スカラシップ)と呼ばれるもので、日本のような返済義務はない性質のものだ。
スカラシップをもらって勉強したと言うだけで名誉なことであり、その後の就職や軍隊の中での高い評価が期待できる。
奨学金の受給にも強烈な競争試験があるので、皆実によく勉強する。
これ彼らの言う「平等と公平」だ。
出発点において同じ条件だが、その後の本人の努力と頑張りで「結果」は違ってくる。
ゆえに、その結果である現実の自分も自分の意思でそうなったのだと考える。
日本よりはるかに厳しいのがアメリカの競争社会なのである。