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積乱雲

2021.05.20

気象が不安定な時に現れる入道雲は気象学では「積乱雲」と呼ばれる。日本では低気圧の寒冷前線に現れ、強風・落雷。激しい雨を降らせる。熱帯では昼間の強烈な太陽光線で熱せられた海面から多量の水蒸気が蒸発して上昇気流に乗って露点に達し巨大な積乱雲となる。

80年前の太平洋戦争でも、航空兵が基礎座学で学ぶ気象学で「絶対に積乱雲に近づいてはならない」と教えられる。

積乱雲の中は強烈な上昇気流と下降気流が吹いていて、B-29のような大型機でも空中分解してしまう。

空中戦で深手を負って積乱雲に逃げ込んだゼロ戦もグラマンも同じ運命をたどる。

航空機の歴史は同時に「航空事故」の歴史でもある。

事故原因の調査、パイロットの人的ミスなのか?飛行機自体の機械的故障や不具合によるものなのか?

離陸から着陸(或いは事故墜落・不時着)までを機体・エンジンについて記録する「flight recorder」と操縦室内の音声会話を録音した「voice recorder」の2つが詳細に記録している。

われわれが一般に思っているほど飛行機は一直線に飛ばない。

目的地までの間に「陸上」と「海上」に変針点があり、その上空で管制の指示により高度・速度・方向の3つの情報を与えられる。

例えば東京の羽田空港の管制なら従う航空機の多くは「伊豆大島」上空を起点として変針する。西へ飛ぶと次は「焼津」で目的地へ向け針路を変える。西日本や沖縄・南西諸島へ飛ぶ便だ。

あとは当分の間「水平・高高度」飛行で最も燃費の良い空域を飛ぶ。

実は民間航空機でも現在は機体のアタマのところに前方を監視するレーダーが付いている。これは陸地上空を飛ぶ時には「地上モード」にして1000~3000mの山岳地帯での衝突回避のために地形を見ながら、海上では「対空モード」に切り換えて前方の積乱雲を見張る。

実際に皆さんが飛行機の座席に座っていて....なんだか左右に揺れているなぁ..と思う時はそれである。

パイロットが対空・気象モードのレーダーで前方に浮かぶ「積乱雲」を避けて左右に舵をとって飛んでいるジグザク飛行が行われていると思ってまず間違いない。

飛行機にも各国の思想や目的が現れる。

例えば日本の「零式艦上戦闘機」のゼロ戦は機体の剛性とパイロットの命を守る防弾版すら軽量化して武装のみ充実した攻撃精神の権化のような飛行機だった。一切の快適装置なし。

これと対照的なのがB-29だろう....人類史上初めての「与圧システム」によって機内は高度10000mでも地上とほぼ同じ1気圧でエアコンにより温度調整もされていた。それまでのEurope戦線で飛んでいたB-17やB-24とは搭乗員の機内環境において雲泥の差だ。

日米の航空隊はそれぞれに「積乱雲に近づくな!積乱雲に飛び込むな!」と言う。

積乱雲が脅威となるのは現在も同じだ。

少し前にエアバスA-300のリオデジャネイロ発パリ行のエールフランス航空機が離陸してから大西洋で積乱雲と遭遇、墜落。乗客・乗員全員が死亡すると言う事故があった。

原因は信じられないが「気象情報不足」。

ブラジルの航空管制に入る気象情報はリオデジャネイロ空港のレーダーが届くところまでで、アフリカ大陸近くの気象は情報がなくわからない。

エールフランス機は何もわからないまま前方の積乱雲に突っ込んだ。なかでは凄まじい上昇気流と下降気流でもみくちゃになった。

更に悪いことは重なる....積乱雲のなかで飛行機の速度検出用の「ピトー菅」に氷の粒がつまり、正確な飛行速度がわからず異常に低い速度が表示されつづけた。

状況から考えてパイロットが取る方法は「エンジン出力を上げる」「上げ舵をとる」の2つだろう。しかし限界を超えて上げ舵を取れば起こりうる事態は「失速」だ。

事故後に回収されたflight box recorderとvoice recorderの解析によると、飛行機は上げ舵をとったまま出力Maxでほぼ水平姿勢のまま海面に激突していた。

積乱雲...自然の力はあなどれない。

自然の力が人間の予想と努力を上回った時に事故は起きる。

ターキッシュ エアラインズのエアバスA330-300

ヨーロッパの各国がアメリカのBoeing社に対抗して作りあげた傑作機「エアバス」

A-300型は日本のLCC各社が採用している機種。アメリカのボーイング機とは飛行機の根本思想がまった異なる....それは危機に陥った瞬間の違いだ。

エアバスは過去のすべての事例から瞬間...「操作をAI(コンピューター)が優先して決め実行する」。

のに対してアメリカのボーイング社の飛行機の場合、あくまでも機のパイロット(機長)の判断と操作を最優先するよう設計されている。

積乱雲に入ってしまってからの乗客の運命は....今のところ50:50である。











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