進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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化け猫
2021.05.14
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私は猫が大好きだ。
漢字で猫と書く時とカタカナのネコはずいぶんと頭に浮かぶimageが違う。
少し長くなるが、以下が私とネコの関わり合いのStoryである。
私が生れる前から我が家にはネコがいた。
名前は「ミーコ」と言う。
東京の三鷹にある平屋の都営住宅だったから飼えたのだろう。ある日、母のところへ近所のスガワラさんのおばさんがカゴに子猫を数匹入れて持ってきた。
「ウチのネコがたくさん子供を産んで困っているの...どれか1匹もらって欲しいんだけど...いらないなら今からキリストの山に(国際基督教大学の林)埋めに行きます」
母を悲し気に見上げていたネコを母は選んだ...他のネコたちには申し訳ないと心で詫びつつだったそうだ。
それが初代ミーコ。
昔の写真を見ると、寝ている赤ん坊の私の隣に必ずミーコが添い寝している。メスネコだったから私を出来の悪い大きなネコと思っていたらしい。
母が怒ると一緒になって私に「ファー!ファー!」と爪を立てて怒るから、幼児だったわたしは頭に来たことを今でもよく覚えている。
夜には見ものだった。毎晩夜10時頃になるとミーコが近づいてきてはスリスリをする。それでも無視していると二階に上がる階段の途中まで自分が上がり私を呼ぶ「ナァ~オン
ナァ~オン」それは優しい声で母猫が子猫を呼ぶあの声だ。
要するに「もう遅くなったから子猫は寝なさい」と言うこと。
仕方ないからミーコに先導されて自室に入り寝床に横になると「すっーと」入って来て、喉をゴロゴロ鳴らしながら私を寝かしつける...私が寝たのを確認すると階段をおりてリビングに行き母が寝るまで一緒にいる。その繰り返しだった。
ミーコは16年生きたが、ある冬の日に風邪をこじらせて肺炎になり、私の腕の中で息を引き取った。
昔から化け猫はいたらしいが、化け犬とは聞いたことがない。それは猫の方が家の中にいるし自分勝手だ。犬のように飼い主に気に入られようとガマンや努力はまったくしない。
暗闇で光る猫の目には確かに「妖しい」何かを感じる。
長く飼われた猫は化け猫になる力を宿す....年数にして15年(地方によっては13年に短縮)を辛抱すると基礎条件をクリアする。
江戸時代には有名な九州は佐賀の鍋島藩に今も伝わる化け猫伝説がある。
確か武士どうしが囲碁だったか..将棋だったか...の勝負のいざこざになり激昂して相手を切り殺してしまう。殺された武士の母親も自害....この家に飼われていた猫が亡くなった主人の血をなめて化け猫になる。猫はやがて主人を殺した仇の屋敷に美しい若い女中となって就職。夜な夜な池の鯉を獲って嬉しそうに食べる..このsceneが怖い。そしてなき主人の仇を討つ。
子供のころに昔の白黒の映画を見たが、あんな怖い映画はなかった。モノクロはカラーよりずっと言うに言われぬ明暗の美しさと同時に恐怖や人間の心にある不安を映し出す。