進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
-
アジ釣りは楽し...
2021.04.25
-
およそアジくらい庶民的なサカナはないだろう。
江戸時代には「ひかりもの」....ウロコがキラキラ光るので自己主張が強いimageの下品なサカナとされた。
それが「イワシ・サバ・アジ」なのだそうだ。
一度この順位が付く理由を祖父の友人の釣り師の話を聞いた記憶がある...
「イワシは古来釣るとすぐ死んでしまうので...弱し(ヨワシ)と言った言葉が残ってイワシになった。弱さを言うので大事かも知れないが一番下」
「サバは...サバを読むと言うくらい。釣った時には暴れる...。フネの上は血まみれだ。腹を裂けば...ハラワタが多いしキタナイ。身が柔らかくて足が速い(腐りやすい)から人間様の誰かのよう」
「アジはなかなか釣れず、ハラワタもキレイだ。船上でも暴れず潔い(いさぎよい)。食味も最高でどんな調理法でもアジに勝るサカナはない」
あたかもサカナを擬人化して江戸時代までの「武士道」....明治からも密かに重んじられてきた武士道の「弓矢の道」をサカナにあてはめた評価ではないかと後日の自分は考えた。概ねそれは外れていないように思う。
サバは脂肪分に富む栄養魚だが、何故か釣り人はあまり喜ばない。「ああ、またサバか...!」と忌々し気に鈎を外して海へそのままreleaseするのが多かった。
最近では「駿河サバ」が遂にブランドになり、漁師が我々のように「一本釣り」でサバを釣る。丁寧に釣り上げたサバは「生け簀にブクブクのエアレーション」を施し..大事にペットのように飼われたサバが翌日「生きたまま」セリにかけられる。
なんでここまでわき道に逸れるんだろう。
アジじゃないのか。
その「気品あり・潔い・ハラワタの綺麗な」アジを自分はどれだけ愛して、その釣りを極めようとしてきたか。
英語のように結論から言うなら....私などいまだにアジ釣り師の端っこの出発点にいる。
フネのアジ釣りと防波堤・漁港のそれとは根本的に違う....そう驚くほど。
具体例のほうがご理解いただける。
まず私が旧4級船舶操縦の免許を取ったころは、ただただ嬉しくてたまらず「沖へ行けばサカナがたくさんいて必ず釣れる!」と単純に思っていた。これは沿岸の釣りが限界に達し「昔からの有名なポイント」が荒れてしまったことが反対原因であった。
港の防波堤・地磯...そのリール遠投で届く範囲の海底にはまるで北海道のコンブのように切れた仕掛けの残骸と道糸が漂っていると言う。地元のダイバーが海底清掃ボランティア活動で1日もぐるとトラック何杯分もの釣り糸・仕掛け・海底ゴミが回収される。
こんな海にはアジはいない。だから昔防波堤で竹竿でも釣れたマアジは伊東の海からいなくなった。
では、いまの駿河湾のボートアジ釣りはどんなだろうか?
まず、あの広い駿河湾の沿岸にもアジの好む「ポイント」があること。それも最近はピンポイントで5mはずれたら釣果は半減、10mはずすともう釣れない。
昔の漁師は沖から陸を眺めて目標となる山・建築物などを「物標」としてその見通し線が重なるところを「海上のポイント」として割り出していた。海上で5mと狂わないから凄い。
今でも先輩から習った釣り人はこの「山ダテ」で大体のポイントに自分のフネを持っていくが、ここ20年くらいの間に文明の利器が精度を増した。
GPS(クルマで言うナビ)である。発売当初はGPS単体でフネのどこかに受信用の白い丸型のアンテナをつけていたからそれとすぐにわかったが、今ではGPS魚探が一般的になったからアンテナは内蔵型。
Americaの人工衛星からの電波信号を受信して広い海の上にある「自船の位置」を正確に教えてくれる。昔なら...イヤつい40年前までは「六分儀」の世界だが。
これを使って先輩や釣り仲間から聞いた海上のポイントに向かい、魚探で海底の状況を見て釣り開始。よく釣れたらポイントとして登録。緯度・経度の何分何秒まで登録される。
沖に出るたびにこの作業を繰り返す....釣りの回数に比例してポイント登録数は増え、修正して行けばその精度はより正確になる。
GPSと魚探がなければ釣れないなんて言ったら昔の釣りの名人、或いは腕のいい漁師は何と言ったろう...
でもこれが今のアジ釣りなのだ。No one can deny the fact.
あとはあなたの腕と努力次第だ。
その日の「潮・水温・風」を見て何処で釣るかを決める。潮が透明度が高い澄み潮かプランクトンの多い濁り潮かでサビキの「色」を決める。
アジは目がイイ....絡んだ仕掛けやパーマのかかったハリスを嫌う。新しい仕掛けにかえたとたんに釣れだす。
あとサビキ釣りの場合は「ポイントがあっていてアジに活性があれば」どれだけ釣れるかは「コマセ」の投入回数によることを私は経験則上で知った。
よくコマセを「コマセカゴ」にぎゅうぎゅうづめにして長く海中でもたせている人がいるがあれはダメ。
80%くらいにしてタナに落とす回数が多いほうが絶対に釣果に恵まれる。
アジが一番釣れる瞬間がある。
それは正確にリールのDepth Meter(counter)を見てタナに落としてstop。
「サビキながら巻き上げる」その瞬間だ!瞬間が多いほど釣れるチャンスは比例して多くなる。手返しよく頻繁にコマセを入れ替えて仕掛けをアジの食いダナに送りこもう。
結局海中でのアジへのアピール度の問題なのだろう。
どの釣りでもそうだが、アジ釣りには究めつくせない奥がある。
失敗を繰り返しながら毎回の研鑽を積むしかない。
それを可能にするのはアジの姿の美しさ、釣味の繊細さと同時に大胆さ。釣りたてのキアジの食味の絶品さであろう。
体高があり黄色味が強いキアジ。イナダのように尾びれが黄色い。