進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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ヤマメかアマゴか...
2021.04.19
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サカナの話になる。
今はもう絶滅危惧種に近いくらい減ってしまった日本の淡水魚に「ヤマメ」がいる。
サケ科の渓流魚で、関東から北の渓流のさらに上流にいる。夏でも長く人間が入っていられないくらいの低い水温で極めて透明度の高い清流でしか生きられないサカナだ。
私は幼稚園の年少組から親父に連れられて関東地方の山奥まで釣りに行った。今で思うとよくあんなToolで..と感心するくらい「ボロい」tackleだった。
2.7~3.6mの並継ぎの竹竿。まだPEなんてなかったから当然「ナイロン」の道糸。これに渓流釣り用のplasticの赤い矢印(ウキ)をつけて、ハリスが当時から市販されだした「がまかつ」社製の渓流鈎を結ぶ。このあたりの事情が分かるのはもう還暦を越えたanglerだろうか....
埼玉県なら高麗川の上流、多摩川を八王子から限界までさかのぼった「奥多摩」、遠路なら山梨県の道志川くらいまで行かないとヤマメは当時50年前には釣れなかった。
エサは現地の川の中の大きな石をひっくりかえして獲れる「川虫」。或いは高いけれど釣り道具屋で売っている釣りエサ用「イクラ」だった。
川虫とは専門用語であり、トビケラの幼虫・チョロムシなどの総称である。釣りの原則から言うなら「現地のサカナの食性」に合わせるのが当然なのだが、台風とか大雨もある。或いは逆に渇水期もあるから、保険の意味で「イクラ」は必要だった。
親父がブツブツ言いながらイクラを買っていたことを思い出す..
「人の足元を見やがって....川虫が取れたら使わないのに!」
ここが親父のエライところだが、現地到着の時間にあわせてムリしてでも出発するから渓流に着いて仕掛けを作り出す頃に夜が明ける...釣りは時間が勝負。
誰もいない朝霧が立ち込める渓流に親子して入って行くのは...言葉もないくらいの感動だ。希望と興奮のmax.
親父は基本を教えたらあとは自分の釣りをする。息子が釣れなくても...エサのつけ方に悩もうと...究極足を滑らせて川に流されようと関係なし。
目に涙を浮かべて自分で這い上がって来ても...ニヤリ。
「バーカ!」で終わりだ。
ヤマメ釣りは難しい。本で読もうと今風にDVDやYou Tubeでどれほど見ようがダメ。
柔道の加納五郎ではないが「心技一体」...
川を読み、川に慣れ...何というかもう「自分がヤマメになった」くらいに達してようやく釣れると昔から言われて来た。
恥ずかしながら、私が20㎝を越えるヤマメを釣ったのは幼稚園から数えて7年目の小6の時。場所は伊豆の河津川の源流に近い場所だった。嬉しくて泣いたことを思い出す。
まったくサカナの大きさによらず、釣果の数によらず...ただただ父との釣行の数年をかけてようやく釣れたヤマメだったから。
中学生になり月刊「釣り人」を書店で買っては貪るように読んでいた。すると自分が知っている「ヤマメ」に酷似したサカナが西日本にいることを知った。
それが「アマゴ」だ。
体形と言い、習性も食性もほとんど同じ。唯一の違いは魚体の側面にある「サビ(点)」と呼ばれる「赤あるいはオレンジ色」の点である。ヤマメにはない。
さらにアマゴにも2種があって、魚体に見える楕円のマーク(technical termではパーマーク)の直径が短い「伊豆のアマゴ」とやけに長い「関西アマゴ」に分類されると言うのが最新の学説である。
自分の中ではまあ...「アマゴでもヤマメでもあまり差異はないからいいんじゃない」と思うのだが、究極的には反省した。やはり、アマゴとヤマメは似ていても全くの別種だ。
それは降海型の場合の比較によってわかる。
ヤマメは海に降りまた遡上するとサクラマスになる。
アマゴはサツキマスになる。
もともとがサケ科だが、降海して巨大化するとここまで違う。
ヤマメが降海した「サクラマス」...太い!
アマゴが降海した「サツキマス」...サビ点がある。
本当に釣りをやっていてよかった。
お父さんありがとう。