進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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最後の授業
2021.02.27
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長い間塾に通ってくれた中3もいよいよ昨日が最後の授業だった....
本当に良く頑張って勉強した。私が嬉しいのは通っていた時間の長さではない。それぞれが適性によって進む道が違っても、皆それぞれに自分の全力を尽くして来たことへの賞賛なのだ。
昔から「百里を行く旅は九十九里をもって半ばとす...」と言う。
今の人間ならバカなことを言うな!100の半分は50だろう。
そう当然考える。
私は祖父や父からこんなことを良く聞かされ育った...古い古い日本人だ。子供のころはそんなことはもういいから、早く自由にしてくれ!と思ったものだ。自分たちができなかったからって子や孫に言わないでくれョ...とも。
でも自分も2人の子供を育て、還暦を超えると....その思いも変わってきた。
ああ、やはりそうなのか。
数学でクリアカットにわり切れるほど人生は簡単ではない。その思いも希望も、挫折や悲しみさえも一律にアドバイスや心理学でいう傾聴ではいやせない。
目標を立てても、様々な理由や事情で達成できないことがほとんどではないだろうか?
家庭の事情や親の介護、自身の仕事の忙しいことや体調の不調のあるだろう。
生徒・学生と社会人は格段に状況が違うと言いながら、やはり目標が達成できなかったことには変わりないと私は思う。
これが「百里を行く旅は...」の意味なのだとようやく私なりに悟った思いである。
ゆえに来月3日に入試の筆記試験5教科を受ける諸君には、冷静に落ち着いて自分の中にあるものをすべて出し切って欲しい。
玄関先で脱いだ靴を揃えないで上がってくる生徒は難しい試験の時....桜は咲かない。
40年塾をやって来てもそれがなぜなのかわからない。
最終的に試験で成功するのは絶対に学力だけではない。本人の持っている「運」によるところがかなりある。本番どれだけ落ち着けるか。それはどれだけミスをしないかだ。
何回模擬試験をやってみても「学力がほとんど同じ」なのに合否が分かれるのは何故だろう。何が違うのか。
何故か思うのだが....母国語に対する思いが強いかどうかではいか。
皆さんもお読みになったと思うが、フランスの作家ドーデーの作品に
「最後の授業」がある。
普仏戦争...プロイセンとフランスの戦争に負けた結果、フランスではその後「母国語」であるフランス語の授業は禁止されることになった。
その最後のフランス語の授業で、フランス語の先生が生徒たちを前に言う。
「ある民族が奴隷となっても、その母国語を保っている限り、牢獄の鍵を握っているのと同じです」と言う先生の締めくくりの言葉。
鍵...とはフランス語。
日本も同じではないか。禁止はされなかったが、今ほど母国語の日本語が軽視され外国語の英語が幅を利かせている時代はないのではないか。
今日、巣立っていく諸君に送りたい言葉は。
国語である日本語を大切に、生涯かけて磨いてほしい....
美しく豊富で繊細な言葉は人生を豊かにする。
そして真の人間の言葉には力があり、美しい。