進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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カワハギ
2021.03.20
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釣りをしない方は申し訳ない。先生、いくら高校入試が終わったからっていい加減にしてくださいよ、とご父兄に𠮟られそうである。
まあ勘弁してください。全員が第一志望校に合格したのですから....
カワハギはブリやカンパチ、マダイのような駿河湾の大物釣りとは一線を画す釣りだ。
まず「大きさ」なんて一切関係ない釣りである。以下は私が体験し、または釣りの現場で見た実体験の中での話であることをご理解の上でお読みいただきたい。
だいたいカワハギは「皮剥ぎ」だ。
釣りあげた魚体の「皮」を剥いでから。さあ...どうしようと加工するサカナである。
カワハギは記憶をたどればまず「釣れないサカナ」である。それはホバリングと言って海中でエサを食べるときに、ヘリコプターのように海水中にとどまりながら「ツンツンとついばむ」習性がある。だから釣り師には、ほとんどアタリを感じることがない。
私がいつも片道30分以上かけて通うアジポイントは同時にカワハギポイントでもある。
夜明けに出港してフルスロットル....エンジンも砕けよとばかりに駿河湾の対岸に渡ると、もう先客で地元のロコで元漁師風の「和船」がいる。
「A..丸」と「N丸」だ。
この2船はアンカー(錨)を入れず、潮流に流されると船外機で元のポイントに戻る。
われわれのようにGPSに頼ってはいないから、ある意味尊敬である。
カワハギ釣りはアジ釣りに似ていて異なる。
何故かは知らないが、付けエサは必ず「アサリのムキ身」。
微妙なアタリをとる......微妙過ぎるアタリは通常の舟竿では「まったくわからない」ので専用の「カワハギ竿」があるくらいだ。
少々専門的になるが、超が付くくらいの「先調子」の軽量なロッドを使う。要するにカワハギの、敏感な弱いアタリを取るためだ。そして意外なカワハギの大物がかかった時に備えてだろうか...かかった後のサカナのpowerを吸収するがっしりした竿全体のポテンシァル・エナジーがある特徴のあるロッドだ。
どんな経験もムダではない。
食いあげ・食い渋り....まるで大昔に埼玉県のヘラブナ釣りで体験したことが海のカワハギ釣りに適用できるとは考えてもみなかった。
ことによると「アジ」に始まって近海のカツオ・マグロを体験した古武士(ふるつわもの)のような漁師がカワハギとキアジの釣りに戻って来たのかもしれない。
駿河湾の対岸ポイントで会う「和船のおじいさん漁師」は凄い。すべての動作にムダがない。無言でただ一人明け方の海で一本釣りをする。
本当に一刀流の武士のimageだ。朝日を浴びて光り輝くすがたは神々しくもあり、まるで釣りの神さまか聖ペテロのようだ。
その神さまが釣るのはカワハギとキアジだった。
付けエサのアサリのムキ身