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青木ヶ原「樹海」

2021.02.15

独特の印象が残る深い森...富士山の西の麓に広がる原生林が「青木ヶ原の樹海」である。

ちなみに「樹海」の英語訳は' The Sea of Trees '...

子供のころから祖父や父に連れられて富士五湖によく行った。そのたびに樹海をクルマで通った。「何か薄暗くて誰もいない深い森だな」という漠然とした記憶しかないが、漠然としながらハッキリと記憶に残っている。

その後、樹海は有史以来一度も開発の手が入っていない特別なところだと知った。明治時代にはここに逃げ込めば捕まらないと考えた「刑務所の脱獄囚」が逃げ込んだ。ところが見つからないまま永遠に消息をたった。

今では想像もできないが、昔は小説文学が自殺を助長させた。要するにある特定の小説を読んだ読者が影響されて「小説の主人公のように死にたい」と思い実行してしまう。

今でも半年に一回、山梨県警と消防が樹海に入るには、必ず2人1組。道路のガードレールに数百メートルのロープを固定し腰に結んで入る。携帯無線機は勿論である。

樹海は200メートル入ったらもうアブナイと言われる。

原因はいくつかある。

その一つが「方位磁石」が狂ってしまい使い物にならないことがある。これは樹海の地盤の岩自体が強い磁力を帯びているからだ。疑い深い私は昔若かりし頃に「そんなわけあるのものか!」とばかりに実際にクルマをおりて昼なお暗い樹海に入り登山用のcompassを使ってみた.....ダメである。示す方位はクルクル変わり自分の位置も進む方向もわからなくなる。

もう一つは「太陽の位置がわからない」こと。

樹海は国立公園法に守らて開発されていない。だから伐採されない樹木の高さが非常に高く太陽を見ようとしても木々の先端に見える僅かの青空には太陽を捜せない。日本に暮らしていれば本能的に「お昼ごろに太陽はほぼ真南に来る」と誰もが思うのだが、太陽の位置がわからない樹海では「明るいか暗いか」の基準しかない。

先ほど言及した小説だが「果たせぬ恋の結末に...樹海に入り多量の睡眠薬で眠りながら旅立つ」story。しかも樹海に入れば誰からも邪魔されずに安らかに逝ける...という話だ。

昭和に入ってからの伊豆大島三原山の自殺の話もその後に続く多くの自殺者を出した。今風に言うなら' follower 'なのだろうが罪作りな小説であり事件である。

最近はコロナとオリンピックをやるかどうか...の話ばかりで時流に関係のない1円の利益にもならない話(歴史の多くはそうだ..)には一切関心を持たないことをヨシとする社会風潮がある。

当たり障りのない話題で誰かと会ってする挨拶代わりの一言二言がコロナとオリンピックしかないならいっそのこと何も言わないほうがましだ。

実は樹海には人間の本質に迫り暗示する教訓を秘めている。

それはドイツ語で古くから言われて来た人間の本質「ルング・バンデルング」...英語では
' Ring Wondering 'である。

樹海では物理的に自分がいる位置とすすむ方向がわからなくなり、やがて食料・水・体力が尽きて遭難する。

人間の生きる長い人生の旅もよく似ている。

自分の立ち位置がわからないと人間関係も壊れていく。自分が今日まで生きて来た軌跡の意味を考えられなければ、これから進む未来将来の方向さえ失ってしまう。

樹海で太陽が見えないのは、この世で生きる自分の方向性がわからないことと似ている。

私は趣味でフネに乗り釣りをする...沖に出るたびに思う。もし、フネの舵が壊れたら全速で航走したところで目的の港にはたどり着けない。出発した港へも帰ることさえできない。

まさに「進む方向」を考えない人生が「ルング・バンデリング」そのものなのだ。

樹海で「進む方向」もわからず歩き続ける気持ちはどんなだろう..

樹海をとり上げた最近の映画が2つある。

「追憶の森」と「樹の海」...実に樹海の意味をよくとらえた作品だと思う。

Amazon Prime memberならすぐにでも鑑賞をおすすめしたい。
DVD rentalでも借りられる。

しかし...一番のおすすめは、昼なお暗い「青木ヶ原樹海」に実際に行ってみることだ。



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