進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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あなたは電子辞書?
2021.02.07
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今までの辞書か電子辞書か?
これは中学校の英語の教科書のなかで対話文として扱われる教材にもなっている問題だ。
電子辞書はそう...20年くらい前からpopularになって来たが当時のものは画面が暗かったり、収録されている辞典・辞書が少なかったりでせいぜい英文科の大学生が無理して買っていたくらいだった。
あと、電子辞書は今でこそ製品の故障が減ったけれど当時はよく壊れた。made in Japanを確かめて購入しても「液晶が欠ける」とか「スイッチが入らない」などの不具合が多かった。
だから友人の1人は...彼はロッカーをやりながら学費をねん出している風変わりな学生だった。彼の変人ぶりには変人のわたしでさえドギモを抜かれた。
「電子辞書ですか?まあ..ボクの趣味じゃないんでね」と言って新型の電子辞書を買って周囲に性能自慢をしている学生を冷ややかな笑みを浮かべて見ている。
彼と初めて会った時に...Hawaiiからの帰りにまっすぐ大学に来たのか?と思った。
からからとキャリヤーを引いていたから。
でも講義の始まる前によく見たら、キャリヤーに積まれていたのは全部辞書だった!
英英辞典が多かった...OxfordやLongman。あと英語学の関係の辞典でいっぱいだ。
あまり親しくなる機会はその後なかったが、彼の話す英語や書いた文章を見るとアメリカ留学組かもしれない。
ある程度英語がわかるようになると「この英語の意味は?この日本語を英語にすると?」という段階は終わって「実際にその英語は英米でどう使われているんだろう?」という知的好奇心に駆られるようになる。
だから収録語数を誇る辞書よりも「例文・実際の使用例」が1文でも多く載っている辞書が大いに英語を学ぼうとする人間の助けになる。
コレが従前の辞書の最大の使用meritだ。
要するにわからない英語を辞書で調べるうちに「知らず無意識のうちにその使用英文の実際例」を読んでしまう。そのことが「単語」の日常生活でどう使われるのかのシュミレーションになるからだ。
今までのこのタイプの辞書を英語では' a printed dictionary 'と呼ぶ。電子辞書は' an electronic dictionary'だ。
では電子辞書の利点を考えてみよう。
まず持ち運びに便利と言うことに尽きるだろう。
とても収録辞書の全てをキャリヤーやリックに背負っては運べない。
次に、finger-touchの検索に慣れた若者には断然ある英語を調べようとした時のspeedが早い。
50年前の小学校では国語・漢和辞典を引けない...遅い...で信じらえないくらいに国語の学力差がついた。中学・高校ではこれが英和辞典にかわったものだ。
高校に入学して新しいCollegiateの英和辞典を開いたときの感激は今も忘れない...あの印刷したての辞書のインクのにおいは学問の門をくぐる感激だったと思う。
あの頃は「英語の力は辞書を引いた回数に比例する」と言われた。今の中高生に言ったら笑うかもしれないが、私はいまだにこの言葉は英語学習の真理だと思う。
一番考えなくてはならないのは、私たちは「日本人」だということ。英語教師や通訳は別として、日常の生活や仕事で母国語である日本語を使っているという否定できない事実だ。
外国人との接触があまりにも少なかった時代...昭和くらいまでには、やはり英語の訳読と文法の学習がやむを得ずに強調されたと私も思う。でも、これは日本が島国であり単一民族(ほぼ..)で日本語を共通語としてやってこられたという世界的に見る特殊事情による....その中での最高効率の学習法だった。
だから50年くらい前からこの音声面の学習を何とか補おうと英語教育の現場でも必死の努力をしてきた。重たいOpen Reel Tapeに始まり、cassette tape....いまではCDをどんどん授業で使う。半世紀前と比べたら隔世の感だ。
話を電子辞書に戻そう。
私も英語教員用のもの持っている。
正直「便利だ!」「早い!」
ただ...わかるのは「意味」
もちろん例文参照ボタンを押せば実用例もある。
でも試験勉強や授業の前の1分を争うようなときに高校生が例文まで検索してじっくり考えるとは思えない。
いわば電子辞書の英語は「点」と「線」の検索。
これではあたかも旧日本陸軍の中国大陸での戦闘そのものではないか.....
かと言ってその検索の速さも捨てがたい。
だから県内の進学校では高校1年生の間は授業中に電子辞書を持ち込むことを禁止している場合が多い。私がかつて教えていた伊東高校でもそうだった。これは「効率だけを考えると英語は身につかない。初学者のうちは多くの英文を読むこと」と言う英語教師の良心と考える。
TVで「聴き流すだけで英語がわかり、ペラペラになる....」と楽し気なコマーシャル。
これはそういう効果があった人間がいた、と言う事実があるということ。
やらないよりは刺激になってイイかもしれないがあまりにも高額だ。
CMは本当に罪深い。
最新版の電子辞書を買うほうがまだ役に立つかもしれない。