進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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Marine Corps(海兵隊)
2021.01.26
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日本人になじみの薄いこの海兵隊とは何だろう。
私の知る限りでは海兵隊はイギリスとアメリカに存在する特殊な軍の組織だ。
なぜ特殊か?それは例えばアメリカの場合「陸軍・海軍・空軍・海兵隊・沿岸警備隊」が5つの軍事組織なのだが、陸海空の主たる3軍とは全く別組織になっていること。
世界のどこかで紛争なりがおこり、アメリカが条約を結ぶ同盟国が他国に軍事侵略行為を受けた時に米軍が出動するが、陸海空の3軍を大規模に動かすためには米議会の承認がなければ動けない。
記憶に新しい朝鮮戦争の時に北朝鮮軍が38度線を越えて南下してきたときにも真っ先に投入されたのは米海兵隊だった。
これからもわかるように、海兵隊は「即応の軍事組織」なのだ。
海兵隊は自己完結している。その意味は海兵隊としての「フネ・飛行機・戦車」を持つ。
独自の上陸用舟艇・小型の駆逐艦・海防艦を持ち、戦闘機・偵察機・輸送機を使い、陸軍とほぼ同じ装備も持つ。
海兵隊には航空隊パイロットもいれば、艦艇の船長もいる。上陸部隊の指揮官もいる。
だから、世界の紛争地域にピンポイントで派遣され短期間の解決、初期の攻撃防御によって侵入する相手国の出鼻をくじく働きを担っている。
本格的に陸海空軍が投入されるまでの間を支えるための必要のゆえに創設された。
急速展開によって橋頭保を確保するから海兵隊員は体力・気力に優れ愛国心に富んだ若者から選抜される。
Crazy Marine(クレイジー・マリーン)と沖縄では言う。
現地に通ううちにようやくわかった。海兵隊でもことによるといつ何時に最前線になるかもしれない地域には海兵隊の中でも一番血の気が多い「19~25歳」の隊員が派遣されるそうである。これが沖縄に駐留する海兵隊のほとんどなのだ。
アメリカ政府が何を心配して沖縄に米軍を駐留させているか、推測できるだろう。
若い海兵隊は若さゆえに自己制御が難しい。まして外地勤務であり本国と同じようにはいかない。沖縄駐留の米軍軍人+軍属がたびたび犯す犯罪で沖縄の人々がどれほど迷惑を被ってきたか計り知れない。
1972年に沖縄が本土に復帰、その後米軍の地位協定が見直されるなど改善はされてきたが未だに酔った米兵の交通事故や民家侵入などはたびたび報道される。
本当に言いたくはないが、その多くがCrazy Marineなのだから残念だ。
日本との関わり合いも歴史上にチラチラと散見される。幕末の話、ペリーの黒船艦隊は実は江戸幕府との交渉の前に沖縄...当時の琉球王国に立ち寄り琉球王と接見している。
那覇の港に上陸してから首里城に入るまで、ペリーを護衛している見るからに特別部隊のような一群が「ペリー提督琉球王と接見の図」に見える。これが当時の米海兵隊である。
日米和親条約を締結した浦賀の図でも威儀を正して整列した海兵隊が使節を護衛しているのがわかる。
今でも全世界のアメリカ大使館は直接米本土から派遣されたアメリカ海兵隊が常駐して大使を守っていることをご存じだったろうか。
実は自分には,様々な経緯で今も海兵隊の友人がいる。
友人AmericanのALTの父親が海兵隊だった。彼の家に遊びに行き、食事やpartyに招待されると日本人は自分だけだったから目立ったのだろう...赤ら顔で恰幅の良いAmericanが話しかけてきた。
「息子から聞いたよ...キミは日本人でクリスチャンで英語を話すそうだね」
' Yes,I am ,sir. It's honor to see you,sir. ' と私が姿勢を正して答えると
「リラックスしていいんだよ。私はもう退役軍人なんだから」
それからは会うたびにいろいろな話になった。彼の父親は日本の文化や歴史に詳しく驚かされた。友人のALTは日本人の女性と結婚していたので、直接に息子の嫁さんには聞けないからね...と言って「日本の複雑な習慣(custumのほう)や日本語の敬語法の難しさ」について質問されたことを思い出す。きっと自分の中で解決できないまま我慢していたのだろう。
戦時中の話はあえてしなかったが、ALTの息子からは父親が「太平洋・朝鮮・ヴェトナム」で戦ったと聞いていた。
お父さんは私の目をじっと見て言った言葉を今も覚えている。
「キミたちは沖縄で勇敢だった...だから私は日本人を心から尊敬してる」
もう一人のMarineの友人についてはまたの機会に話そうと思う。