進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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現在完了
2020.12.22
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またまた面白くない話になる....claimを付けたい方はここでお別れしませう。
現在完了は英語を教えていて一番苦しむ領域だ。それはそこまではかなり理解できていた生徒が急にわからなくなるから。
なんとかしてわかってもらおうと中高の英語教員は悩むのである。
実のところ私の時代には現在中3で学ぶ「現在完了」を中2英語で学んだが...生まれて初めて文法の壁に突き当たりショックを受けた。幼稚園の頃からAmericanの英語学校に通っていたから意味はわかるのに「文法的な説明」がわからない。
自分で説明ができない...と言うdilemmaだった。高輪の明治学院近くの書店で「英文法書」なるものを初めて買ったことを思い出す。
英語で現在完了を' Present Perfect 'という。これは英語・ドイツ語のゲルマン系の言語にある一種の「時間に対するとても感覚的な思考」の世界だ。
日本語にはないし..あっても異なる「精神の領域」だから中学生でわからないのは当たり前。高校生だってその理論を丸暗記できても感覚として掴むのは難しい。
Nativeと話しているとごく普通に使うのだが、イザ...文法的説明してみよ!
となると大変だ。ここで追う文法的にとは「日本の教育機関で容認された権威ある方法と言葉で」という意味だ。
ご存じの方にはくどいようだが、日本の英語学習は江戸時代の中期..いや末期ころから英米と接触し出してからの話だから比較的新しい。
それまでは長崎出島での交易から蘭学に代表される「オランダ語」と清国の「中国語」だった。
特に明治に入ってからは英米からとてつもない量の文明が押し寄せてきた。当時の知識伝達のmediaの99%は書物でありWritten Language(文字言語)であったことに注目したい。
日本の近代化を急ぐにはこれらの知識を「正確に和訳」することが何としても必要だった。...もはやそれは国家プロジェクトそのものであった。
そのためには一瞬にして消えてしまう会話や口語ではなく、正しく訳す言葉のruleである「文法」と訳語の暗記である「単語の意味」が不可欠であったのだ。
だからその当時に英米で最も権威のあった「英文法書」を輸入して日本の官立・私立を問わず各学校で命がけの勉強がなされたのであった。
私はこれは極めて正しい選択だったと思う。語学には学ぶ時の状況が大きく作用する。
明治維新以来の日本の歴史的位置を考えたら先人の努力には頭が下がる。
だから今でも日本の中学・高校では「英文の5文型」を学び、大学によっては一般教養課程で凄まじい勢いで英文科以外の他学部の学生にも「5文型」をお経のように意地になって学ばせる...これも当時の文法書の初めにこの「5文型」があったからと言われる。
誰も関心がないような話で申し訳ない。
....という訳で、塾生に教えるときにも自分が中2の時にぶち当たたった「壁」があるものと思って教えている。
現在完了には「完了・継続・経験」と大別して3つの用法があり、運よく高校に進学するとこれに加えて「結果」用法が加わる。
われわれ日本語を母国語とする日本人が一番理解しにくいのが「継続用法」ではないか。
よく生徒に言うのだが「現在完了は時間のwarp(ワープ)」である。
For example...「この一週間雨が降っている」は正確に前後の時系列を考えて分析すれば「一週間前に雨が降り始めた」+「その雨はいままでずっと降っていた」+「いまこの瞬間にも降っている」となる。
母国語の日本語では3つのpartsに分けて言わなければならないが、ゲルマン系語の英語では....
It has been raining for a week.
だけで済んでしまう。
ズルいというか凄いと思うか..どうでもイイと思うかはあなた次第である。
これがclearできるかできないかでその後の英語力が決まる。
この後....過去完了(フランス語で言う「大過去」)や未来完了の世界が待っているのだから。
ちなみに欧米....アメリカ・イギリス・ヨーロッパでは外国語が一つ母国語なみにできるのはごく普通で、学校に真面目に通った証拠。
あの人は勉強したね...と言われる教養人は「母国語(英語)・ドイツ語・フランス語・ラテン語・ギリシア語」までが堪能な人間だ。
私にはこの意味で私淑するのは愛知大学国際関係学部に交換教授としてアイルランドから勤務してた外国人教授K̪氏(could be 「師」)が思い出される。
日本人でここまで謙虚に一生をかけて勉強している人がどれだけいるだろう。
私など凡人もいいところだ。