進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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ハゼ..かフナ?
2020.05.14
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「オレなんてZ洲(沖の大物ポイント)で2mのブリを釣ったゾ。ハリスは最低でも16号さ!」......
釣り人なら誰でも一度はあこがれる場面ではある。黒潮が御前崎から支流になって流れ込む駿河湾は急深であり、同時に複雑な海底地形で様々な大物がいる不思議な海だ。
その深海からせりあがっているポイントが石花海(せのうみ)で下田沖の銭洲とならんで
ブリ・カンパチ・シマアジ...など高級魚がいつも群れている漁場である。
そういうところの釣りは腕のイイ船長と信頼関係を結ばなければダメ。
仕事を調整して前後で3日間の休みを取り、決して安くない乗船料(まあ10万円以上だろう)を支払い、かつ自分にも大型青物を釣り上げる経験と技術があって初めて夢のような釣果が出る。
まあ..そんな場は一生に2・3度あればいいのではないか。
海外遠征の釣りもそれに属するが、日本語のよく通じる東南アジア..多くは大戦中に日本軍が進出していた地域、当時は日本の行政権がおこなわれて日本人官吏が派遣されていたくらいだからその地域での釣りは楽だろう。
あとは南太平洋のAustralia・New Zealandなどの旧英国連邦の国か、America領の島々かAmericaの西海岸なら英語ができる釣り人ならhotelの予約や釣り船のcharterも楽々だ。
でもね....
そんなhighlightの場面がすべてと考える釣りは「良き思い出」としておくのがよい。
いつも自慢ばかりでは人もやがて離れていく.....「孤独な老釣り師」になってしまう。私も気をつけなければ...
「ハゼ釣りに始まり....ハゼに終わる」とはよく言ったものだ。
淡水域なら「フナ釣り...」になるだろう。
要するに「ハゼ」も「フナ」も...誰でも釣れるが、誰にも釣れるわけではない。
釣りに不案内な方に説明すると、オジイサンや親父に連れられて...それとも友人と初めてする釣りが「ハゼ」の場合が圧倒的に多く、次いで「フナ」釣りになるということだ。いい顔のマハゼ。
懐かしいマブナ。
いま釣りに入れ込んでいる「釣り人」なら子供の頃に必ず「ハゼ」か「フナ」の釣りを体験している場合が多い。
まあ..そうだなぁ。
淡水域の「池・沼・川」で釣れるのがフナ。
文部省唱歌にある「ふるさと」と言う歌の中に「♪...コブナ釣りしかの川♪」という一説があるがあれなどは昔の日本の川ならそれこそ田んぼの用水路にでもいた「マブナ」だろうと思う。
私が小3まで過ごした川越市など市街地を少し過ぎるとひたすらの水田風景で、いたるところに小川や用水路...池・沼が広がっていた。
学校の帰りに拾った棒にタコ糸を結わえて「事務用クリップ」をまげて鈎をつくり、石の下にいる「ミミズ」をつかまえてエサにする。浮きもリールもない...それでも用水路に投げ込むとエサが底に着く前にもう「イイ型のマブナ」が釣れたものだ...帰宅が遅くなり叱られたが...
あと、主に河口のような汽水域(潮の満ち干で塩分濃度がかわる)を好んで生息するのがハゼだ。フナもハゼも近似種が多いからあまり気にせずに「フナ」と「ハゼ」でいいだろう。
ハゼは....そう、江戸時代から江戸湾(東京湾)の江戸川河口の「お台場」付近・荒川河口のハゼ釣りに至っては将軍家をはじめ直参大名のお殿様が入れ込むほどの「ハゼ釣り」だった。
漆塗りの立派な竹竿を競いあったと聞く。エサはゴカイだったのかなあ?
一方のフナは海まで遠い「内陸の淡水の釣り」である。
「マブナ・キンブナ・ギンブナ・ゲンゴロウブナ」の4種があり、よく釣れるのはマブナとギンブナである。
ギンブナの大きなものは体長25cmほどになり水質の良いところで釣れたフナは「アライ」にして美味。
キンブナは...自分の体験上いつも「底」にいた。沼・池・川を問わず浮いてこない。シロギス釣りの淡水versionのように投げ釣り。エサ生きのイイ「キジ(ミミズ)」。
狩野川の伊豆長岡あたりのテトラから...柔らかい穂先のrodで投げる。
「ガガガツーン!」と小気味よいアタリ。
今の日本ではもう「希少種」となった大型のキンブナが釣れる。
私は一応にも持ち帰り....次の釣行の時に狩野川に返す。カッコよく言うならrelease。
韮山塾生の多くは狩野川で釣ったフナを持ち帰り、なぜか知らないが必ず「食べる」。
英語はまるでできなかったがフナ釣りはバツグンの塾生OBの「IW」男クンが言った。
「ここで釣れるフナはお刺身・アライ...どうやっても美味しいんです!」と叫ぶ。
彼はrodの「穂先」の微妙な変化(アタリ)をとらえてはキンブナ・ギンブナの大物を釣り上げていた。あれは見ていても気持ちがよかった。
フナ釣り名人の「N村クン」...元気か?
それぞれの地元で「フナ釣り」「アジ釣り」の懐かしい思い出があると思う。
それは、体験した釣り人をつなぎとめる。
否.....魅了してやまないのだろうと思う。
釣ったサカナの「大きさ」を競う...それはそれで意味のあること。
でも一方で「魚種」と「サカナ」にこだわる釣りもまた存在するのである。。
これはアジの中の「クロアジ」。よく地元スーパーの鮮魚コーナーでpackedされて売っている。ただ、最近は地元の海で毎日水揚げされるほどには獲れないから、伊豆でも「長崎産」「島根産」のアジを運送賃をかけて取り寄せては売っているが、小売価格は高い。一般のクロアジ(のどぐろ)と比較。
究極のキアジ..ここまで黄色が鮮やかな個体は少ない。
全体が黄金色になる「キアジ」..房総の館山で言うキンアジはコレ。海底の瀬付きアジで回遊しない。
クロアジが沖の表層付近を群れで回遊するのに対してキアジは海底の潮通しの良い「根(ね)」に居ついているから「内湾性の強いキアジ」と言ったりする。
では、なぜ同じアジなのにこうも違うのか?
いろいろ本を読んだりnetで調べたりしてみたが...学者の間にも諸説があり確実・確定した結論は出ていないそうだ。私は大学の水産学部でも海洋学部でもないからすべては趣味の範囲でしか語れない...アジについては何か専門書があるのだろうか?
そのアジのなかで「食性」によって体質と体色に変化がでる..という説が個人的には納得できた。
要するにspecies(生物学で言う「種」)としてのアジは同じ。
ただ偶然か個人(..いや個魚か?)によって孵化した幼魚の時にそのまま仲間と海の表層を泳ぎまわって「広くプランクトン」を食べる道に行くぞ!..と選択をするアジは「クロアジ(マアジ・のどくろ)」になる。
一方で偶然に見つけた?「海底の根」付近が...気持ちよく海水が透明で適度に暖かい。おまけに根にあたる海流に各種プランクトン・エビや他の魚の幼生幼魚がいつも流れては集まる。なんかイイゾ...と感じたアジがいる。
「ここに決めるか!」と固定的な居場所を決めたそのアジが「キアジ」に育つ。
そして、その「エビ・シラス・その他のエサ」を食べるうちにエサに含まれる「ある種の酵素」の作用によって全身が黄色みを増して行く。
究極まで行くと...千葉の館山沖の根にいる「キンアジ」になる。
かつての海軍館山航空隊..伯父が乗機97艦攻で離着陸していた現在の海上自衛隊館山航空基地。その外側滑走路から湾内を東側に「砂州」でつながった「沖ノ島」がある。
この沖ノ島から始まる「館山湾の根」に究極のキアジ...キンアジがいる。
久里浜から東京湾カーフェリーに乗ると房総半島の金谷に着く。わずか40分の船旅だが「近づいてくる房総半島」を見ながらの時間は小学生の時から...それこそ嬉しくて死にそうな至高の時間だった。
クソっ!(失礼)コロナめ!
塾を休みにしてでも今すぐに房総の南端の館山に行きたい。
......アジにもフナもそれを釣る道はまるで松尾芭蕉の「奥の細道」である。
生涯をかけても極めつくせないだろう。......それがイイ。
この道を行くゾ。