進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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誰も言わない歴史
2020.04.07
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正確には「誰も言えない..」だろう。別の角度からは「言うだけムダ」「言ったら自分が不利になる」こと。
日本の江戸時代をよく中世ヨーロッパにたとえて「暗く民衆に精神的な自由がない圧迫された時代」と考えがちだがトンデモナイ。
当時の江戸くらい繁栄して治安が保たれていた都市は世界のどこを探してもなかった。
庶民は「読み書きそろばん」の人間として生きていくのに必要な実学の大切さを知っていたから子供たちの教育に熱心だった。
これは開国した直後に来日したキリスト教各派の宣教師・大学や政府のお雇い外国人がその驚きを本国へ報告していることからもわかる...
「日本人庶民は読む・書く・計算するという初等教育がほぼ完璧なまでに行われています。文盲はまずいません。その平均的学力の高さには驚愕するばかりです」
前時代的ですべてが抑圧の時代と思われていた徳川300年の江戸時代が安定の熟成の時代だったのだ。
その上での開国..明治時代と続くのだから、江戸時代は日本にとって欠くことのできない「歴史の必然」だったと思う。
江戸時代がなければ今の日本はない。
特に江戸時代の終わりごろに幕府も諸藩も全力を尽くしてくれなかったら、隣りの清国(中国)のように国中を欧米列強の軍事力にひれ伏して「租借地・港湾・鉄道..」の条約を圧倒的不利な条件で結ばされていたことだろう。
Hong Kong(香港)を見るとよい。
アヘン戦争の結果のイギリス・清国間で締結した「南京条約」の結果イギリスが租借していた。本国から「植民地総督」を派遣して統治していた。
大陸の中国(中華人民共和国)に返還されたのはついこの間ではなかったか..
昔の清国がかかわった戦争と結果の条約の結果責任を香港の人々(敢えて香港市民というべきか..)は負っているのである。
日本人にありがちな「ああ、そう..」という対岸の火事的な気持ちで見てはならない。
人間にとって、自分の責任でも罪でもないのに....生まれて気が付いてみたら「何かの責任・条件」を負わされていた、ということは耐え難い。
学校で教える歴史はあたりさわりのない「事実」のみ。
その事実のウラにどれほどの...くやしさ・悲しみがあるのかを考えていただきたい。