進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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ビデオ店の今...
2020.03.23
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もう20年近く前になるが用事で宇都宮に行った時の事だ。
友人と名物の宇都宮餃子を食べて一杯やろうか..ということになり夜の街にくり出した。
するとビデオ店の前の歩道にブルーシートを敷いて店のビデオを持ってきては無造作に並べて売っている。
手書きマジックペンで「どれでも500円」と書いてある....
店の経営者と思わしきひと...オヤジさんがいたので声をかけた。
「お店の移転ですか?」
「.....移転と言えば移転だけどね。今日で店をたたむんだよ」
「テナント料と人件費だけでもう赤字なんだ..」
私はもう何も言えなかった。
何かを言ったところでこの人を救うことはできないし、どんな言葉もうつろに響くだけだったろう。ただその時には心の中で祈った....
自分の力では及ばない現実が目の前にある時、あなたはどうする...?なにができる...?なにもできないその時に...あなたならどうする?
笑われようと愚弄されようとキリスト教徒の自分には...その人のために心の奥で「祈る」ことしかできなかった。
あの宇都宮の寒空の下。あれからお店の片づけをした親子はどうしただろう....?
今はどうだろう。
もうビデオと言う言葉も難しい...
ビデオはかつてのあの黒くて大きいVHSテープを意味したから、ビデオ(video)という言葉を使う人はよほど記憶媒体の情報を知らないか、敢えて「記録するもの」という言葉の範疇をビデオという「言葉」で統括し総称しているかのどちらかだ。
現在はDVDが主流。
一般家庭内でTVの番組を予約録画したり、友人知人から借りたDVDをダビングして見ている。私も今ではできないが、レンタルのDVDをパソコンに取り込んでCopyし新たな自作Copied DVDができるそうである。
さらに世の中は進化(?)してお金さえ出せば予想もしなかった天国のようなserviceが受けられるようになった。
それがAmazon Primeである。
確か年間4000円くらいの利用料で映画の準新作くらいまでは見放題になる。新作でも100円の視聴料か....
これがパソコンだけでなく手持ちの「スマホ」でも可能なんだから....
ウチの息子たちなんてスマホで空いた時間に見たいときにしか映画を見ない。
これが現在の主流だろう。
こうなると地元のビデオ店(貸出商品のほとんどがDVDになったからDVD店というべきか)にはよほどのFANでなければわざわざ行くことはなくなる...残酷だけれどこれが現実の市場経済なのだろう。
地元のビデオ店を見ると「工夫に工夫をこらして」なんとか存続しているお店が1つあるだけ。あとの2つはいつもお客がいない...壊滅寸前に見える。
先日などビデオ店の店先に「テナント物件」という看板があった。
まだ店は営業しているのに...である。
私もかつて友人の不動産会社で宅建士をやった経験があるからわからないではないが...それでもあまりにも残酷な世界である。
ゆえに....総括すれば...ビデオ店はどんどん縮小されて行きやがては消滅するだろう。
もし銀行に融資を申し込めば銀行の融資担当者はそういう目で見ている。
市場経済の事実を積み重ねて体系化した「経済学」は学ぶ価値が大いにある。
と同時に同じくらい経済学は残酷な学問である。
私はもうビデオ店に行かなくなった。
「自宅に居ながらにして足りてしまう+できてしまう」以上の何か。So called...' Epoch making'な何かが現れない限りこの現象は加速されるだろう。
本当に仏教で予言された「末法の世」に突入したようである。