進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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私も受験でした...
2020.03.15
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生徒の指導が完全に受験モードに突入した昨年の11月頃、実は私も受験勉強に入っていた。
いろいろ理由はあるが「塾の生徒がギリギリの受験をする...」のだから自分も遥か昔の心境に戻って経験したことのない勉強をしてみようではないか..と考えたから。
私が昔勉強したのは、法律・英語・歴史の3つの分野だった。
法律の国家資格では、他者からの法律相談にのったり訴状を書いて検察庁や裁判所に出入りしている。英語は高校までの教員免許で教えている。
これら以外のことは自分にはよくわからない。
わからない分野とは理系...分けても工業とか電気の世界は素人(しろうと)の域をでない。伯父たちが理系で飛行機のパイロットだったり、電気を専攻して独立したのとはまるで違う......考えたくはないが「カネにならない文系」そのものが私だ。
というわけで1年くらい前から何とか自分で手が届きそうな工業系の国家資格を調べ始めた。今の時代はありがたい。自宅にいながらインターネットでほとんどの情報が手に入る。
私が目標に...或いは可能かな?と考えたのが2つの資格だった。
驚かずに聞いていただきたいが、まず「ボイラー技士」。
これは父方の大叔父が昔の海軍横須賀工廠にいて軍の教育で「ボイラー技士」となっていたことが頭をよぎったからだ。コワい大叔父(父の叔父)さんだったなぁ...確か第6艦隊の潜水艦部隊(ィ号...と言っておわかりだろうか)所属だった。
調べたところ今では「通信教育コース」もある。標準とか速成コースに分かれていてテキストを読み+各レッスンごとのDVDを見て+課題reportを書き、予想問題さらに模擬試験を時間制限でやり仕上げる。
実に懇切丁寧だ....ウーン待てよ!?
こういう時に誰もが一番参考にするのがネットの「合格体験記」だ。
ただしそれは「その人なりの条件で成功した」1例であることを肝に銘じたい。
100%自分にあてはまると思い込むことが受験で失敗する最大の原因だ。
要は「多くの成功例や合格の例」の中からどれだけ自分に有益な部分があるのか..その的確な情報を選別し自分の条件のなかで実行できるかにかかっている。
言い換えれば「情報量」よりむしろ「情報分析力」なのだろう。
社会人であれば当然「仕事」があり、家庭があれば家族のため家庭の維持のために「時間と労力」を惜しみなく(?)捧げている。
その中で勉強時間を不規則でもいいから取り、酒やゴルフもほどほどに節制して数か月は勉強しないと...いやいやどんなに威張っても不合格ならおしまいだ。
あと、この「ボイラー技士」の場合には次の3つのことが厳守だった。
1.指定された会場で3日間の連続講習会に出席(1分の遅刻も早退も認められない)
2.ボイラーの実技講習(実際の工場で指導教官の指示でボイラーを動かす)
3.講習会と実技の要件を満たした受験者だけ受験会場にでかけて3時間筆記試験。
私の場合は静岡県の住所だったので「講習会・実技」は清水。国家試験は東海地区に該当していたから名古屋近くの東海市だった。
模擬試験では98%の正解までこぎつけたから最終の筆記試験は大きな「思い込みミス」をやらない限り大丈夫だろう..と思ったが..
大変だったのは平日に3日間(前泊したら4日間)も連続して仕事を調整しないと受験自体が不可能だということ。最終の試験地が「浜名湖のまだ先」で前泊が必要だったことだった。
クルマを自分で整備して東名高速にのり..ひたすら運転。岡崎JC.で下道に。
伊勢湾岸にある東海市に予約した宿へはチェックインの15:00前についた。時間があったから翌日の試験会場「中部安全衛生技術センター」へ行ってみた。各種の国家試験を毎日実施している施設らしく、いかにも交通アクセスの悪い僻地にある大きな施設であった。自分のクルマで来られない受験者は駅からの往復はタクシーに頼らざるを得ない。
そんなことを考えて、ホテルに戻りシャワーを浴びてすぐに寝てしまった。
早朝の4時頃に目が覚めてしまった...ここ2か月の習慣とは恐ろしい。
自分が書いたreportや模擬試験で間違えたところのみpick-upして最後の「悪あがき」。
私は講習会のテキストと皆が推薦する「予想問題」+5年分の「過去問」の独学だった。
このあたりの勉強方法としては普段塾で生徒たちに実行している指導法を自分に行ったのだった。
それは「テキストの出題範囲をサッと読む」→「基礎的な必修問題をやってみる」→「自己採点する」→「間違ったところ」だけをピックアップして集中学習する。
この方法は誰がナント言おうと絶大な力を発揮する。出題範囲が狭ければ満点近い結果となる。私は今まで受けてきた試験を自信がないがゆえにこの方法で受けて突破してきた。
「合格」するには、そんな勉強は学問とは程遠いと言われようと仕方ない。「ボイラーとは何か?」なんて言う本質を追求する勉強を掘り下げていたのではボイラ技士の国家試験は通らないだろう。
技術系の国家資格が求めているのは学者ではない。一定レベルの技術と専門知識を持った現場に対応できる人間である。
それでも休んだ分の塾の補習はガッチリとやらなければならなかったし、生徒の指導計画がすべてに最優先で苦しくても自分の勉強は後回しにした。
深夜まで受験の指導をしていたから帰宅後の勉強時間がなく、毎朝4時に起きては2時間ずつわけのわからない勉強をした。中学・高校の理科の知識を総動員してもまったくわからない世界はツライ。
結果は合格...ああよかった。合格率20~30%...でもこれは合格を目指して勉強してきた受験生のなかで合格者が何人だったか..その割合である。
10人中の合格が3人くらい..というよりも、100人中80~70人が不合格と言えばやっとその実感がわかる。
人は何とでも言う...
「あんな簡単な資格を取ってどうするんだ」「ボイラーなんて勉強して仕事があるのか」「あの試験に落ちるヤツっているの?」
自分の人生に自信がない人間ほど他者を激しく攻撃する。
人の努力をあざ笑う....
私は思う...自分の人生を自分なりに思いきり生きて何が悪いんだろう?
そのための精いっぱいの努力をする人を私は心から尊敬する。
私の教えた生徒たちはそれぞれがまったく違った個性と適性を持っている。合格した高校も大学も別である...そこにいいも悪いもあるものか。
涙ぐましい塾生のラストスパートを見て、指導する私自身が教えられた思いである。
若い者はイイ...ただ目標の成ることを信じて全力で立ち向かう。
PS. 合格したもう一つの国家試験については明日以降に予定。