進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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暗記...or...理解?
2019.11.13
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「暗記」か「理解」か....これくらい教育の最前線で困ることはない。
そう...生徒・学生だけではなく教員もまた苦しんでいる。
例えば私の塾で日常的に繰り返されるsceneがある。
生徒「わかりませーン!」(元気よく)
私 「わからないんじゃなくて、覚えていないんだろう」
生徒「だから..わからないんです」
私は...単純に「覚えていない」ことと「わからない」は本質的にまったく違うと考える。
例えば「掛け算の九九・alphabetの順・数学の公式・未然連用..ではじまる用言の活用」などは完全に覚えていないとそれから先がない。
ところが、その基礎的な暗記事項を覚えていないにも関わらず、あまりにも簡単に「わかりません!」と言って済ませてはいないか...
クルマでいうなら「ガソリンを入れていないのにハイテクのエンジン開発だけ頑張る」ようなものだ。
小中学生なら、毎回のテスト結果になって「数字」を突き付けられるから、まだまだこの言葉の意味を現実に「どうしてこうなるんだ!?」と考える可能性はある。
問題は実は大人だ。
「結果・成果」ばかりを追うあまり....ことの本質的な部分を考えない場合があるのではないか?
そして多くの場合、これが原因となって同じことが繰り返され...結果は出ず成果も乏しい。
具体的な例として中学や高校生で、塾へ行こうと家庭教師をつけようともなかなか学力がつかず成績も上がらない生徒たちには....実はトンデモナイ共通項がある。
まず、最も多いのが「好きなことは頑張れる!」という一見明るいタイプ。
これは裏を返せば「イヤなことは頑張らない」につながる..それで済めばことは簡単だ。
親としても子供の喜ぶ顔を見ていたい。苦しみ悩むわが子は見たくない...
その結果...言いたくはないが。
嫌いな科目は勉強しない。だから、その教科担任の教師もキライ。
イヤな科目の暗記なんて絶対に「イヤ!」となる。
だから、机に向かうと勉強するのは「好きな科目」だけ...少しましなら「イヤな科目」はチョッとだけ。
これで学力が付き成績が伸びるなら、塾も学校もいらない。
少し頭に血がのぼってしまったようだ...失礼。
また別の話だが、最近の生徒には共通の特徴がある。
「何かを覚えること」を異常なまでに嫌う。
「勉強...って理解することじゃないか!」と信仰に近いくらいにまで思い込んでいる。
誰がいつ、こんな邪道な価値観を植え込んだのだろう?
そして基礎的な暗記事項を「振り返り学習」することもなく、今の勉強内容が瞬間に「わかる」か「わからない」か...それだけにすべてをかけている。
勉強はクイズではない。
苦しみながら勉強して学力がついて行く子はこの点を「肌で」感じ理解している。
あまり現実の例を見すぎるとがっかりするが「漢字も書けず・計算もできない..」でスマホにすべて頼っている生徒がいるが将来どんな大人になるのだろう....?
好きなことだけをガンバル若者。
仕事の成果と物事の結果だけを重視する大人。
その先にある日本の将来はどんなものになるんだろう....
自己責任の論理は一見coolに見えるが、実は冷酷にして薄情な人間関係を生んで行く。
これはあの有名な「Darwinの進化論」を現代版に焼き直したものだ。
因みにあのナチス・ドイツの人種論にゴーサインを与えたのもこの「進化論」だった。
つらいこと...イヤなことを耐え、乗り越えることをわが子、若者に教えよう。
そして成功例ばかり語る人間に心して警戒する注意深さも。