進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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中国の小中学生
2019.03.03
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Education in China(the main land)...中国の教育(大陸本土のほうの)という話だ。
ご存じのようにあの第2次大戦のあとの国共内戦の結果、敗れた国民党は清朝に伝わる国家財宝を持って海を渡り台湾に国を移設した。これが「中華民国」。
一方で内戦に勝利した側の共産党が建国したのが毛沢東率いる「中華人民共和国」である。
通常...というかかなり恣意的な教育によって前者を無理矢理「台湾」と呼び、大陸側を「中国」と言うようになった。もし自然にそう思うならそれでよいだろう。
ここでは誰もが中国と呼んでいる大陸側の「中国」の義務教育についての話だ...
人民共和国..西洋人が言うCommunist China(あえて訳さず)は社会主義国であるが、江沢民のころから「白いネコでも黒いネコでもネズミを取ってくるのが良いネコだ..」の考え方が萌芽して、言わば日本以上の競争社会が出来上がってしまった。
中学・高校の教科書を見てもこのへんの事情や歴史に配慮してか「ズバリ」の言及がなく、中国のGDPやGNPの成長をグラフ数値で教えるのみだ。そうなって行くことの裏にどれだけの犠牲や人民(国民)の犠牲があるのかは一切論じられず書かれることはない。
中国の現在の小中学校における義務教育はかつての昭和30~50年代の日本に似ている。
それは「応試教育」だ。
漢字は読んで字の如しの表意文字だから助かる。応試..とは「試験に応じる」と言う意味であり受験対策の教育カリキュラムを意味する。
「いかに試験で高得点をかせぐか」だけにポイントを絞った学校教育がなされている。
何か日本で言う進学予備校がそのまま小中学校になってしまった感がある。
ここから生み出される高校生・大学受験を控えた受験生を見て驚いた...
まるで40年くらい前の日本の若者を見るようだ。
試験ではいい成績を取るけれど、自分で何も決められない。決めたことに責任を取れないし取ろうとする気概はゼロ。受験・就職の会社説明会には母親か稀に父親がピッタリ付き添い、面接では受験生・就活生のわが子に代わって大声で答えてしまう....
私もごく小規模かもしれないが、同じphenomenonを塾サイドで見て来た。入塾希望者があり1ヵ月体験学習に入る前に父兄と面接するのだが...こちらが質問する内容に対してすべて親が答えてしまう。
私は生徒本人の気持ちや希望を是非とも入塾前に訊いておきたいのだが...困ったものだ。
こういう親任せで何もできない若者の存在とその統計上の増大に危機感をもつ中国人もいるらしい。
試験対策ばかりの「応試教育」に対して...これもまた驚いたが「孔子・孟子」に始まる「四書五経」の古典教育を本当に実行する学校が中国に増加中だ。
明らかな時代逆行と思えるのだが...curriculumは暗記中心そのものであるし。
まあ、world-wideでも「孔子学院」なるものがアメリカを始めにヨーロッパにまで広がり英語・ドイツ語・フランス語圏内の子供たちの多くが通うようになっているのだから本国ならなおさらであろう。
これは中華思想の世界規模での進出と警戒する国もある。
でも「孔孟の教え」「四書五経」は中国古典の聖典ではあるが、遥か昔にまだ中国が「春秋戦国時代」と呼ばれていた頃のやがて儒教になる思想である。
この教育はいま「読教教育」と呼ばれていて中国国内に増加中である。
...でもここで行われるのは「孔子・孟子+四書五経」のひたすらの暗記だ。
そして「応試教育」にも「読教教育」にも着いていけない(行けなかった)子供たちのためには「少林寺学校」がある。
武道を生活・学びの中心においての体育系の学校だと聞いた。
卒業生の進路は人民解放軍やセキュリティー会社に抜群の就職率を誇る。
中国は憲法・法律で「義務教育の無償」を保障されていない。したがって公立の小中学校も有料かつ高額である。
ここで述べた「読教教育」「少林寺学校」は国が認める私立の小中学校である。
問題はその学費だ。
現在、大卒の中国人の平均月収が8万円のところこれらの私立学校で学ぶには月額20万円、年額240万円の学費を必要とする。
あなたなら...どうする?