進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
-
「北方領土と呼ぶな...!」?
2019.01.21
-
安倍首相はロシア(連邦)との交渉で頑張っていただきたい。おそらくこの機を逃したら50~100年くらいは領土交渉のチャンスはめぐって来ないだろう。
ロシアはそういう国だ。
大昔は「ロシア帝国」と呼ばれた。日本が明治時代に国運をかけて戦ったのはツァーリ(皇帝)が統治するこのロシア帝国だった。
その後ロシアには革命がおこり皇帝とその家族は銃殺された...革命は残酷である。
かわってロシアは「ソ連」...USSRとなった。昭和期に日本の建国した満州国と接する国境線をめぐってハルハ川付近でおきた「ノモンハン事件」に始まって大陸・朝鮮半島をめぐって衝突して来た。
歴史にif(もしも...)はないと言う。
どの国の運命にしても、将来が方向づけられるような戦争の一瞬には神の力が働いているのだろうかと思うような「数分間」があるものだ。
ミッドウェー海戦の「数分間」もヒロシマ原爆を運んだ巡洋艦インディアナポリスの帰途をイ号潜水艦が撃沈した「数分間」も....
ロシア帝国・ソ連・ロシア連邦...と国名は変わっても彼らは綿々と伝わる「国是」を変えることは絶対にない。
それは「南下政策」「不凍港を求める」ことの2つである。
このために隣接する国とは事あるごとに衝突し...無理難題が通らなければ戦争してでも「南の土地・領土」を取ることに国運をかける。
「不凍港」にしても同じである。南下して領土を増やすことの「海バージョン」がこれ。
日本人にはこの気持ちが理解できないだろう...北海道の流氷のくるオホーツク海に面した地方に住む人しか実感できない。
海水はマイナス30℃くらいになると「氷結」する。実際に北洋の漁場ではかぶった波が船体に氷結してフネが転覆・沈没する。港が諏訪湖のように氷結してしまうと、漁船も貨物船も動けない。戦争するにも海軍の艦艇は動かせなくなる。
だから彼らは是が非にも「凍らない港」が欲しくてたまらない。北方の凍てついた大地に生きて来た「スラブ民族」の歴史と血がそうさせるのであり、これは最早彼らの本能に近い。これは絶対に理解しておかないと彼らの行動が予測できなくなる。
歴史的な事実として、江戸時代~明治初期のころの北海道以北の「樺太」は氷結した海を渡ってきたロシア人、こちらからはアイヌ、日本人商人・漁民が混住する雑居地であった。
「千島・樺太交換条約」という国際条約がある。
これは時の榎本武揚がはるばるロシアのサンクトペテルブルク(皇都)まで行って締結した非常に優れた条約である。
それは「樺太をロシア帝国領と認める代わりに北海道以北の千島列島を日本領とする」内容だった。
その後に起きた日露戦争はかろうじて日本の勝利に終わった。この時のポーツマス条約では「樺太の南半分を日本領とする」こととなった。
従って国際条約によればいまだに「樺太の南半分+千島列島の全部」は日本領である。
今になってロシア連邦は「日本は第二次世界大戦の結果を受けいれよ」と主張するが、樺太も千島列島も日本がポツダム宣言を受諾して終戦になった数日後に当時のソ連が不法にも上陸し、引き揚げ途中の日本人を殺傷し財産を略奪して占領して来たのだ。
その火事場泥棒のような不法占領が彼らの言う「第二次大戦の結果」である。
日ソ不可侵条約を信じていた日本に対する仕打ちは歴史上の事実だ。これこそ「南下政策」を終戦間際に日本に宣戦布告して数日間だけ戦って領土拡大したという具体化そのものだ。日本政府もmediaもソ連(ロシア連邦)の顔色をうかがっているのかこの事実を公にしない。
はっきり言って今のロシア連邦には初めから北方領土の島は「1島たりとも」帰す気持ちも予定もない...と考える。あるはずはないのだ。
数年前からロシア連邦は歯舞諸島・クナシリ・エトロフ島への移住政策を強力に勧めている。広大な土地をロシア人に「無償譲渡・貸与」するというものだ。
これは予定される日本との領土交渉で自国を有利に、かつ交渉が成立することを阻むための政策である。彼らは「領土交渉」と呼ばず「国境線画定作業」と呼ぶ。
去年の秋に知床半島の限界にまで行ってみた。
目と鼻の先のような狭い海峡の向こうには「クナシリ島・エトロフ島」が見えた。
伊豆からみる大島くらいの距離であった。
皆さんはこの北方領土返還交渉をどうお考えだろうか....
PS:ちなみに「北方領土」と言う言葉は根底に「本当は日本領であるはずの..」という含みを感じさせるからロシア連邦は拒絶するのだそうである。「北方領土」などまだまだ表現としてはあまい。あれは正確に「樺太南半分と千島列島」と呼ぶべきである。