進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
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「大丈夫です」....?
2023.01.11
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最近はやりの言葉に「大丈夫」がある。私にとってこれくらい意味不明な言葉はない。
特にteenager~20代くらいの若者の間で頻繁に使われているなぁ..と思っていたら、あっと言う間に30~50歳代の中堅どころの年代層でも口にする人が出てきたようで困っている。これは実社会の影響だろうか。
なにが困るかと言えば、それは使用状況や話者の心理状況によって全く反対の意味を持つように考えられるからだ。
例えばあるファミレスの対話。
ウェイトレス「ご注文のほう大丈夫ですか?」
客 「はい。以上で」
私の父や祖父が聞いたら腰を抜かすだろう...「ご注文はお決まりですか?」「はい、以上でお願いします。」が自分のなかでは標準的な会話例と思うんだが...
私が10年くらい前だったか初めて聞いたときにはビックリしてすぐには返事ができなかった。
「大丈夫」って注文がケガでもするんだろうか?
この従業員は日本人に見えるが技能実習生なのか?
しばらくポカンと口を開けていたら彼女の方が驚いたようでfreezしたから困った。逆に私と友人をアジア系の外国人か日系人と思ったらしい。状況からようやく意味を類推解釈して「それでよいですか?」ということなのかとわかったという出来事。
英語はこうした逆の意味や混乱を避ける傾向が強いから「あいまいさ」を排除してハッキリしている。だから航空用語と飛行中のパイロットと管制塔の言語は英語が使われるよう定められている。
Restaurant' May I have your order?'
Customer ' Sure.' でよい。英語のやり取りは誤解の可能性はぐっと減る。
英語では実際の使用例を「語法」と言い、usageと呼ぶが最新版にupdateされた辞書にも載っていない言葉は本当に困る。言葉は自分と相手の「意志の疎通+情報の伝達」の働きをするのだが、ここで大切なのは言葉とか用語が「何を意味するか」という共通の定義だろう。
あと一つの用法はさらに難解だ。まだ小中学校の国語でも扱っていない。標準の日本語を学んだ外国人は面食らう場面が急増中である。
次のような会話を聞いたことはないだろうか...
「よかったらLINEでやりとりしませんか?」
「あっ、大丈夫です!」
これなど予想に反して ' No,thank you.'の意味だと言うから驚くなんてものではない。
断るならしっかり・ハッキリ断るのが相手への配慮からも正しいと思うのだが.....
大丈夫と言うのは丈夫(じょうふ )から派生した語。もともと古代中国の身長の単位が「丈」だったから。丈夫は能力に優れた男を指して言った言葉で、大丈夫はさらにこの強調なのだから「しっかりして確か・危なげない」ことの意味が正しい。相手の言ったことに対して肯定的に使うのが良いと考える。
頑固だとか、融通が利かないとお考えの方もいると思うが、語学・言葉を教えるのが私の仕事なのだからいたしかたない。
昭和は遠くなりにけりだよ...とは本当だった。