進学セミナー西川塾 城星教室 / 十足教室 の日記
-
趣味は救い?
2022.07.26
-
趣味と遊びの違いがわからない人はここでお別れしましょう。これから先のブログを読んで頂いてもなぁ....人生観と価値観の違いは大きい。
趣味はその人が心から喜んでするもの。人生を豊かにし、趣味からは多くのものを学ぶ。
趣味は継続して深めるもので、その到達点はない。
趣味は遊びのように瞬間的に消える喜びではない。それもまた必要だが...
趣味は人を幸せにする。
逆に言うなら本当の「趣味を持った」人で不幸な人を私は知らない。
それは決して経済的なことでも物質的なことでもない。自身をとりまく経済や物質は1回の人生のなかで非情なくらいに上下するけれど結果は等しいから心配はいらない。
趣味のある人生とない人生とでは雲泥の差になることだけは確かだ。
「うるおい....心の喜び」があるかないか...そこだと考える。
前置きが長くなり恐縮。
では具体的に趣味ってどんなものがあるか?
思うに趣味には大別して2つある。今風に言えば「アウトドア的」なものと「インドア的」なものだ。
英語で書いたほうが言葉からの印象が強い...Out Doorは戸外の趣味。
例えば「釣り・キャンプ・登山・スキー・スケート・ダイビング..etc」などどちらかと言えば体力と技術を必要とするからその積み重ねができる人向きだろう。
In Doorは屋内での趣味。レコード(DVD/CD)・読書・料理・ペットの飼育などだろうか。私が思いつかないだけでまだまだたくさんのindoor hobbyがあるはずだ。
ただ最近はやりの「ゲーム」はどうかな?
屋外の趣味が若者向き、屋内のものが老人向きとは思わない。
たとえば屋外の趣味は天候に左右される場合が多い。登山や海のボートなどはムリをすれば命が危ない。個人の体調や体力の変化も考えなくてはいけない。
という訳で趣味は自然に親しむ屋外のものと、悪天候でも楽しめる屋内の趣味の2つを絶対に持っていたほうがいいだろう。
仕事と家庭・子供だけではやがて寂しい時が来る。...いまは良くても。
先にも述べたが趣味は人生に活力を与え豊かな時間を与えてくれる。単なる遊びとは多いに異なるし次元が違う。
かつて塾生の中に、本当に優秀な生徒がいた。実によく勉強していた....いや勉強以外何もしなかった。親がさせなかった。部活も家事の手伝いもせず、ゲームも興味なし。そして高校受験の半年くらい前から心配な状態になった。以下はかなり前の話である。
いつも眠そうにボーっとしていた。塾で自分より先に誰かが問題を解くともうやらない。学校の定期テスト後には各クラスの優秀な生徒の科目別の情報を聞いて歩く。そのためのメモ帳を持っていた。点数情報がわかるまで気になって何も手につかない。誰かが自分より点数がよかったことがわかると落ち込んで涙ぐみ返事もしなくなる。塾の授業中にその悔しい事実を思い出すのだろう...シャープや鉛筆を渾身の力を込めて折っては、ゴミ箱に投げ捨てる...
その時の怒りと悲しみに満ちた顔を今でも忘れない。
中学校の進路指導の基準とするために静岡県では「学調テスト」があるが、彼は250点満点で230点以上を常に取るくらいの実力を持つ生徒だった....。
しかし事実、他よりいつも自分が出来ていないと満足できない、でないと帰宅してからは親に責め立てられる状態だった。心の休む瞬間もなかったのではないか。
縁があってウチの塾に来たんだから何とかしてこの生徒の苦衷を救ってやりたいと私は思った。いつも私はこのあたりがお節介すぎるのか....塾にも指導の限界があるのに。
やがて進路のことでお母さんが相談に来た時にこの話をした。さぞ驚いて心配するだろうと思ったが.....ニコニコして満足そうにうなずいた。
「そうですか。まあ、そのくらい真剣でないと困りますよね。ウチでは何より勉強が第一と教えていますから...」
「それはその通りと思いますが、今のままで進学すると高校に行ってからなお深刻な状況になるかもしれません。せめてハイキングでも早朝の散歩でもいいですから心が解放されるような趣味を心掛けてはいかがでしょうか?」
「....でもそれって遊びでしょう!」
「.......................................」
これでわかった。勉強以外はすべてムダな遊びなのか?...これがすべての根底だ。
この家庭では勉強第一であった。
それはわかる...私がいつも塾生に言っていることでもある。
しかし一方で勉強を「自分だけ他に抜きん出て優秀になり賞賛を浴びることが目的」としたら一生の破滅ではないのか。とんでもない悪魔の策略に取り込まれてしまう。
人はこの世に役割をもって生まれてくる。その役割に気づき目標とすること。
それが「志をたてる」ことだ。
志を自分の世に実現するには学問することが必要だ....それを勉強という。
それが自分の人生を納得して生きることであり、家族の幸せのためである。友人や知人の幸せをともに喜び、悲しみ災難を我が身となって慰められる人となることだ。
「自慢と批判」しかできない人間になってしまったら自分も家族も哀れではないか。
友もやがては離れて行く....
勉強は「諸刃の剣」だ。心掛け1つで人を幸せにも不幸にもする。
最近よく「生涯学習」と言うけれど、良き趣味を持って初めて可能な学びと思う。