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High Castle...高い城の男

2017.08.17




お盆休みの終わりの8月15日。終戦の日、久しぶりに見ごたえのある映画を見た。

映画と言っても例のAmazonプライムのメンバーなら無料で見られる。特別な日なので登録しておいたFavorite List の中から選んだのが上記の' THE MAN IN THE HIGH CASTLE' 通はHigh Castleと言うのだそうだ。題名の翻訳が何とも直訳で味気ないが中身は素晴らしい出来だった。

小説も大学・大学院の論文も最高に面白い仮説を堂々と述べたものが優秀作品・優等論文となる。「これは...!」と読む者の目を奪う新鮮にして大胆な仮説。

それを裏付ける時代や専門分野の知識が信憑性を深め、あたかも数学の図形の証明のように誰も否定できない事実「仮定(~ならば...)」から論理的に「結論(~である)」に結びついて行く。それゆえの恐怖をrealに味わうことだろう。

物語のoutlineは第二次大戦に勝利したのは枢軸国側の日本とドイツだった...という設定で始まるから、興味深い。私も日本人だから。

アメリカ本土は西側を日本が統治、東側はドイツが統治している。そして緩衝地帯(双方の軍事力が直接対峙する危険を和らげるためのneutral zone)が存在する。

何かこの辺の「分割統治」がかつての東西ドイツや南北ヴェトナム、今の朝鮮半島の情勢を生きた実例としているようで幾たびも緊迫感ある場面に感心した。

日本統治の西アメリカは英語名を' Japanese Pacific States 'といい、ドイツが統治する東アメリカは' Greater Nazi Reich 'という呼称である。ドイツの方のReichは国・統治を意味するドイツ語である。

それぞれの統治下では反体制のresistanceやpartisanを根絶やしにするために軍・警察の治安機関が鋭い嗅覚で国民の日常生活に介入してくる。日本側の内務機関は憲兵(MP)と特別高等警察(特高)、ドイツ統治下のNazi ReichではSS・Gestapoがそれこそ裁判所の逮捕令状などなしに逮捕・拷問を行っている。このあたりの描写は未成年者や心臓に疾患のある方は見ない方がよいだろう。

この' High Castle 'は第2話までDVD releaseされているからビデオ店でレンタルできる。これから第3話以降がどんな展開になるか待ち遠しい。

本の場合なら「読後感」なのだろうが、ここまで見て自分なりに思ったこと・感じたことはある...私はある意味において周囲とすぐにはなじめないヒネクレ者である。古い言い方では「天邪鬼(あまのじゃく)」というらしい。

世の中の流れに迎合できず、こういう映画を見ても全然、評論家や視聴者の声なんて耳に入らず自分なりの強烈な意見が休火山が活火山に変貌するかの如く胸の中から吹き上がってくる。

歴史の現実は72年前の通りである。連合国側が勝利。その過程で3国同盟のイタリアは真っ先に降伏...ムッソリーニの黒シャツ党はどうしたんだろう?破竹の勢いでポーランドへ侵攻し第2のローマ帝国だといったドイツもベルリンの市街戦にヒトラーユーゲントの若者までも戦死させて瓦解した。

ひとり日本だけが1945年昭和20年の夏になっても戦い続けていた。最後に8月6日に広島、9日に長崎に残酷にして非情なる原子爆弾を投下され数十万人の犠牲者を出すまで戦い続けた。これ以上の犠牲を出せば日本そのものが消滅してしまう.....たとえ死よりもつらい恥と屈辱に耐えることになっても、国民が日本人が生き残りさえすればよい。

そのなかから、新しい日本を作る世代が育つことを信じて自分たちは我慢しよう。武器をおさめて連合国に降伏しよう...この血をはくような思いで出されたのが昭和天皇の「終戦の詔(みことのり)」であったのだ。

勝てば官軍である....今風にいうなら「成果を出したものがエライ」。

アメリカ軍は沖縄をはじめとして日本本土の各地へ上陸。すべての日本軍は米軍に降伏。武装解除された。ここまでは歴史の授業で教えられるからまともに授業を聞いていた中高生は記憶のどこかに残っているだろう。

父や伯父にきいたのはそんな生易しいものではない。

上官の命令だからやむなく「列」に並ぶ。自分の軍から支給された武器を全部持ってだ。
天皇陛下からいただいた命よりも大事だと教えられ日々磨いてきた38式歩兵小銃も少尉以上の士官が個人的に持っていた軍刀(日本刀)も...ただ順に米軍の担当官の前に置いては一礼して去る...この瞬間の屈辱と言ったらこの上ないものだったそうである。

ここから始まった米軍の日本統治は昭和27年まで、なんと7年の長きにわたって続いたのだった。ありとあらゆるところに米軍の目が光り、米軍兵士への暴行どころか「出版・放送」遂には個人の発言や著作までも「検閲」された。

戦後7年間は日の丸の国旗を揚げることまで禁止されていたことなどご存じだろうか。

英文で作成されたのが今の「日本国憲法」である。

同じことを昔アメリカは南ヴェトナム(いまは消滅)でやった。一国の憲法を母国語ではなく自分たちの言語で書いてしまうとは..これ以上の無礼があるだろうか。

敗戦後、7年間の米軍直接統治時代を重ねあわせると、恐ろしいほどの類似性を見出す。そこに時空を超えた人間の罪深さを考えるのである。

米軍の中にも気のいいヤツもいるしMarine(海兵隊)には友達もいる。

しかし戦後の米軍を表す'Advancing Army 'をその後「進駐軍」と訳したのは間違いだろう。誰だ!差しさわりないような和訳をしたのは!

本質は「占領軍」である。

.....と書き出せば際限もなくなりそうだ。

百歩譲って、この映画には様々にして深い意味が込められていることは認めざるを得ない。是非ともレンタルでもよいから初秋の夜長を視聴されることをお勧めしたい。


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